2017.09.18 00:00 更新
2017.09.18 取材
ROSSO(赤)とNERO(黒)を纏ったスタイリッシュなケーブルを作る、エスエスエーサービスとはオレたちのこと。密かにサプライ業界の天下を狙うアキバのケーブル屋さんが、ケーブルの魅力を解説する「はじめてのケーブル道」。ケーブルに欠かせない「USB(Universal Serial Bus)」のすべてを振り返る「USB全史」の第2回は、USBの発展に合わせて数多く生み出されてきたコネクタ各種をまとめます。
どうもこんにちは、ROSSO(赤)とNERO(黒)のカッコいいケーブルでアキバでもお馴染み、エスエスエーサービスの担当Tと申します。「USB全史」と題した第1弾の前回では、「USB(Universal Serial Bus)」の成り立ちをざっくりと解説いたしました。USBのバージョンがどうやって進化していったのか・・・というお話でしたが、そんなUSBの発展に合わせて色んな種類のコネクタが生み出されてきました。日常的にお世話になっているメジャーなものからそうでないものまで、はてさてどんなコネクタがあったでしょうか。
USBバージョンの成り立ちや違いをざっくり解説した第1回に続き、「USB全史」の第2回はコネクタを特集。ひょっとしたら、一度も使ったことがないコネクタもあるかも? |
もっとも一般的なUSBコネクタといえば、やはり「USB A」(左)と「USB B」(右)。PC側がA型、周辺機器側がB型として、接続先によって形状を分けることが定められていた。ちなみに画像はいずれもメス型だ |
まずUSBと聞いて多くの人がイメージするのは、この「USB Type-A(USB A)」でしょう。V+/V-、D+/D-の4ピンで構成されていまして、PC側に接続するために規格化されたコネクタです。全二重通信に移行した「USB3.0」になって9pinに増やされたのは、「世代編」でもお話しましたね。ちなみに標準仕様において、耐久度の指標である抜き差し限界は1,500回程度とされています。
そして「USB A」と対をなすコネクタが、台形状の「USB Type-B(USB B)」です。そもそもUSBは、ケーブルの両端でホスト(本体側)がA型でデバイス(周辺機器側)がB型という形に分けられていまして、この「USB B」はプリンターや外付けHDDといった、周辺機器に接続するコネクタとして規格化されたもの。現在でも大型の周辺機器を中心に採用されていますね。
「USB3.0」では全二重通信に移行したため、従来の4pinから上下4pin+5pinの9pinに増強された | シールドを取り除いた比較画像がこちら。pin配置の違いがよく判別できる |
USBがバス規格のメインストリームになると、今度はPC以外にモバイル向けの需要もでてきます。そこでデジカメやタブレットなどのために、「USB A」の小型化を目的に定められたのが「miniUSB Type-A(USB mini A)」。USB機器同士を直接接続する「USB On-The-Go(USB OTG)」の概念が加わったことで、ピン数はOTG接続判定に使用するIDピンを追加した5pinになりました。ただしコネクタ形状がやや複雑なせいもあって、抜き差し限界は1,000回にダウン。今やすっかり後発のコネクタに取って代わられて、一部のデジカメなどに残るのみです。
モバイル需要の高まりから、小型コネクタのminiUSBが登場。こちらの「USB mini A」はキレイな台形バージョンだが、初期型は複雑なコネクタ形状に難があった | miniUSBといえば、こちらの「USB mini B」が一般的か。抜き差し限界はA型から格段に向上している |
そんな「mini A」の反省もあり、抜き差し限界を5,000回に向上させた「miniUSB Type-B(USB mini B)」が制定されます。形状はAによく似ていますが、端子がくびれているのが特徴。一般に“miniUSB”といえば、このコネクタをイメージする人が多いんじゃないでしょうか。もっともモバイル機器のさらなる小型化が急速に進んだこともあり、後発のmicroUSBが登場すると、あっという間にシェアを奪われることになります。USB栄枯盛衰ですね。
miniUSBをさらに小型化すべくmicroUSB誕生。強度もアップしたけれど、「USB micro A」は端子の上下が分かりにくすぎたこともあり、あっという間に姿を消してしまった |
さて、小型のモバイル機器代表といえばスマートフォン。その急速な普及にともなって、miniUSBをさらに小型化した「microUSB Type-A(USB micro A)」が登場します。今までのUSBコネクタにはないラッチ機構を備えつつ、抜き差し限界はなんと10,000回まで向上しました。すごい!・・・と思いきや、コネクタが小さい上に長方形とあって、端子の向きが判別しづらいという大きな欠点が問題に。後発のコネクタが普及すると急速に衰退、現在ではほとんど見られないコネクタです。
小型USBコネクタの真打ち登場、お馴染みの「USB micro B」がこちら。携帯業界の充電統一規格にも採用され、小型デバイス向けでは最も一般的なコネクタに。ちなみに「USB micro B」(オス)ケーブルは「USB micro A」ポート(メス)に接続できるが、その逆はできない |
その「USB micro A」に代わって、一般的に“microUSB”と認知されているのが「microUSB Type-B(USB micro B)」です。薄型の台形コネクタを採用しているので、こちらは向きの判別で迷うことはありません。基本はA/B型の原則通りデバイス側に使うコネクタでしたが、コスト的な問題もあり、今やmicroUSBといえばType-Bがほとんど。ガジェット好きならずとも、お家にこのコネクタを持ったケーブルは複数あるんじゃないでしょうか。
ちなみにモバイル端末が軒並みmicroUSBを搭載しているのは、2009年に携帯電話の標準化団体であるGSM Associationが充電統一規格に採用したから、という経緯があります。端子統合に動いていたEUもmicroUSB採用をメーカーに呼びかけて、当時はAppleも合意に加わっていました。その後、合意をスルーして独自のLightningを導入するに至ったのは、皆さんもご存知の通りです・・・。
microUSBの派生として、端子を拡張したUSB3.0対応の「USB3.0 microA/B」もアリ。Galaxyスマホや外付けHDDなどに採用されていたが、対応機器が少なく、ほとんど普及しなかった |
さてそんなUSBコネクタの歴史に新展開、2014年に「USB Type-C」が誕生します。「USB 3.1」の策定と同時期に規格化が進められたコネクタで、USB規格としては初の両面刺し、いわゆるリバーシブル仕様となりました。しかし同時に劇的な変更がいくつもありまして、ここではちょっと説明しきれません(笑)。「USB Type-C」については、ぜひ別回でじっくりお話できればと思います。
USB初のリバーシブル仕様にして、最先端仕様が盛り込まれた「USB Type-C」。スマホをはじめイマドキ端末のことごとくが採用する最新USB規格、詳細は別回でじっくり解説します |
ときに、ちょくちょく話に出てきた標準仕様におけるコネクタの抜き差し限界について。比較のためにUSB以外のコネクタの例を挙げますと・・・3.5mmイヤホンジャックが1,000回、HDMIやmicroHDMIは5,000回、Lightningも5,000回、DisplayPortは10,000回、一方でSDカードスロットは50回(!)と、抜き差し耐久の標準値がそれぞれ設定されています。基本はメーカー各社もこれらの数字を基準に耐久テストを行っていますから、買い替えの目安(欲しいものができた際の言い訳)として考えてもいいでしょう。もっとも、メーカー側で十分なマージンを確保している場合が多いとは思いますけどね。
さて、USBに関するアレコレを語る「USB全史」の第2回はここまで。次回の「はじめてのケーブル道」では、USBにまつわる別の話題をお届けしましょう。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
株式会社エスエスエーサービス: http://ssa.main.jp/