【ギークの無軌道モバイル観測 Vol.006】スマートウォッチ市場は今どうなってる?10万円超の高級ウォッチに見る一般化の兆し

2018.05.28 00:00 更新

2018.05.28 取材

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ガジェットライフにどっぷりハマる、ギークな野郎は毎日何を考えている?「ギークの殿堂」でお馴染みなアノ人が、スマホやデバイスのアレコレから、業界事情やオトクな契約プランに至るまでを徒然に語る。今回のテーマは、10万円超えの高級モデルを通して考えるスマートウォッチ事情だ。

変わりつつあるスマートウォッチ事情。注目は10万円超の高級モデル

自分が使ってみるだけでなく、店頭でも様々なモデルを目にしてきたスマートウォッチ。ところがここ最近になって、イオシスに入荷するスマートウォッチの種類がだいぶ減ってきた印象がある。以前ならファーウェイの「Huawei Watch」やモトローラの「Moto 360」、Samsungの「Gear S2」、さらにSIMが入る「LG Watch Urbane」などなど、実に多彩な顔ぶれだった。それが近頃はもっぱら「Apple Watch」ばかり。これはいったいどうしたことだろう。

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ここ数年でいったいスマートウォッチ市場はどう変わってきたのか?「Moto 360」をはじめ色んなウォッチを使いまくってきたギーク氏、あらためてウォッチ事情を勉強し直してみることに

期待されたほど市場が伸びなかったのかな?などと考えつつスルーしていたら、どうも大変な勘違いだったようだ。実際に大手量販店に足を運べば、健康機能やスポーツ機能に特化した様々なウォッチやバンドが展開されている。参入ブランドも多様化して、単なるデジタルガジェットの域を越えたモデルも多数。某イオシスの買取事情はさて置き、こうして売り場を眺めていると、以前に比べてスマートウォッチが市場に溶け込んできたのは間違いないようだ。

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SamsungのTizen搭載ウォッチ「Gear S2」。Samsungはスマートウォッチ黎明期から、様々なモデルをリリースしていた デザインの評価も高かった、ファーウェイ初のスマートウォッチ「Huawei Watch」

そんなタイミングで注目してみたのが、ここ1~2年ほどで数を増やしている10万円超の高級スマートウォッチ。1万円もあれば買えるモデルが多い中で、いったい何が違うのだろうか。

高級ブランドによるAndroid Wear(現Wear OS by Google)への参入

さて、高級スマートウォッチをざっくりと分類してみると、おおむね2種類に分かれるように思う。まず一つは、タグ・ホイヤーやルイ・ヴィトンなど、誰もが知る有名ブランドのAndroidスマートウォッチだ。できることは「Moto 360」などとそう変わらないのだが、歴史ある高級アナログ時計と何ら遜色ないプレミアム感をもっている。さすがは“腕に巻くデバイス”を長年手がけてきただけはあって、「デジタル系メーカーが作った腕時計風デバイス」とは一線を画する完成度だ。実際に一般的なスマートウォッチとは違うということなのか、この手の製品は「コネクテッドウォッチ」と呼称されることが多い。

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腕に巻くデバイスとしてのスマートウォッチに満足できない人には、やはり高級時計ブランドがアクセスするしかない。腕時計作りのプロが手がけただけあって、フィット感や存在感は従来のウォッチ以上。自分には無縁のデバイスだと思っていたギーク氏も、その魅力に負けて「タグ・ホイヤー コネクテッド」を買ってしまった

そして高級ブランドとあって、従来のAndroid Wearウォッチとは根本的に販売チャネルの規模も違う。量販店やインターネットでしか買えないということはなく、例えばタグ・ホイヤーの「タグ・ホイヤー コネクテッド」であれば、同社の時計を扱う幅広いお店で展示・販売されている。常駐している詳しいスタッフから、丁寧な説明を受けられるのもポイントだ。

保証も2年間の国際保証がついており、長く使う事が想定されている。飽きてしまっても別のヘッド部分に付け替えることができるなど、付き合い方は高級腕時計そのもの。こうした取り組みからは、普及や定着への本気度も感じられる。

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かつて機械式をデザインそのままクォーツに載せ替えた時計が市場に衝撃を与えたように、従来の高級腕時計をスマート化させた「コネクテッドウォッチ」の誕生は、大きなインパクトがあった。いち早く新分野に進出したルイ・ヴィトンのウォッチは、世界的にも高い評価を獲得している

素材や機能にこだわった多機能ウォッチが頭角を現す

そして高級スマートウォッチを形成する別の一角が、Garminなどに代表される多機能モデルだ。高級腕時計ブランドのようなネームバリューはないにしろ、機能や装備の充実ゆえに高級化したモデル、といった方がいいだろうか。GPSや心拍計、高度計、気圧計、コンパスなど、スポーツマンやアウトドア向けの機能を網羅しつつ、素材にもこだわる製品が多い。スポーツ向けのように見えるモデルでもサファイアガラスが使われていたりと、チープ感はまったくなし。このコンセプトが受けているのか、実に様々なタイプが展開されている。

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スマートウォッチとしての機能をつきつめた、多機能モデルにも高級モデルが多く出現。100m防水や充実したGPS性能を備えたGarmin製ウォッチは、その代表格だ

つい先日には、GARMINのスマートウォッチがVISAの決済機能を搭載したというニュースを耳にして驚かされた。三菱UFJが展開するVISA機能のようだが、こうした決済サービスを取り込むほどに製品としての信用があり、普及もしているということなのだろう。

もちろんGARMINだけでなく、この手の高機能モデルはカシオなどのメーカーからも発売されている。カシオの場合は元来登山やアウトドア向けの多機能時計を手がけており、そのノウハウをスマートウォッチに融合させたパターンと言えそうだ。

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登山向けのタフネスウォッチを手がけてきたカシオも、多機能ウォッチを複数ラインナップ。優れたアウトドア向けスマートウォッチを探すなら、有力な選択肢になる

もう“変態デバイス”ではなくなったスマートウォッチ

「Apple Watch」がリリースされたのが2015年、スマートウォッチが本格的に認知され、身につける人が増えだしたのはその頃からだ。スマートフォンの通知や歩数計のような基本機能だけのものから、「wena wrist」のように好きな時計のヘッドに取り付けられる“ハイブリッド系”も出現。価格もデザインも、スマートウォッチの「スマート」の概念も、製品によって様々で、顔ぶれはかつてなく多彩になっている。

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腕時計のノウハウをフル活用した高級時計ブランドの参入や、デジタルガジェットの機能を突き詰めた高性能モデルの登場。Apple Watch以前に比べて、スマートウォッチ市場もブランドの立ち位置や役割がはっきりし始めたのかもしれない

その一方でスマートウォッチは、以前から腕時計を愛用している人から「時計を奪う」ことには苦戦していた。ところがその路線は、タグ・ホイヤーなどの高級腕時計ブランドが進出することで、従来型のニーズをうまくスマートウォッチに融合させているように見える。

さらにガジェットとしてのスマートウォッチの第一線は、機能や装備に磨きをかけた多機能ウォッチが支え、優秀さゆえに高級モデルも多数現れることになった。普段時計を身に着けない人でも、この手の多機能ウォッチなら意外にハマるかもしれない。

いずれにしろ、「コレを身に着けてみたい」「普段の生活で活かしてみたい」と思うモデルと出会ったら、積極的に試してみることをオススメしたい。

文: 太田 文浩(イオシス アキバ中央通店)

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