エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1659
2026.05.01 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
次に電源ユニットを搭載してみよう。搭載テストには、Thermaltake「TOUGHPOWER GT 850W ATX 3.1」(型番:PS-TPT-0850FNFAGJ-3)を用意した。外形寸法は幅150mm、奥行き140mm、高さ86mmのフルモジュラー式の電源ユニットだ。
搭載方法はシンプルで、サブチャンバー側の中段付近の開口部に電源ユニットを合わせ、4本のインチネジで直接固定を行う。ちなみに電源ユニットの有効スペースは最大250mmとされるが、電源ユニット末端からサイドファン右横のマザーボードトレイ段差部分まで、実測で約115mmの空きスペースを残した。これだけのマージンがあれば、モジュラーケーブルは”後挿し”でもまったく問題はない。これはメリットだろう。
ちなみに作業については、電源ユニットを支える小さなトレイもあり、上段のシャドウベイブラケットよりもネジ留めはしやすい。ただし注意が必要なのが、電源ユニットを搭載するとマザーボードまでの距離がほぼなくなってしまうこと。ほぼ隙間がない状態になるだけに、バックプレートを使ったCPUクーラーが搭載できなくなってしまう。特にIntel系マザーボードにCPUクーラーを搭載する場合は、作業手順を間違えると面倒なことになる。
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| デュアルチャンバー構造の縦置き電源ユニットではよくあるインシデント。配線後の電源ユニット着脱は面倒だけに、ここは構造を理解しておく必要がある |
CPUクーラー有効スペースは全高175mmまで。この数値ならハイエンド志向のサイドフロー型空冷クーラーにも対応できるが、本稿ではオールインワン型水冷ユニットをチョイスした。用意したのは、2026年1月に発売されたThermaltake「TH360 V3 Ultra ARGB Sync Black」(型番:CL-W474-PL12SW-A)だ。
セオリー通り、360mmサイズラジエーターはトップパネルへ固定していく。ところが前方には段差があり、さらに後方には標準搭載の120mmリアファンが控えているため、そのままではラジエーターが干渉して装着できなかった。今回は回避策として、リアファンを一度取り外して作業スペースを確保し、ラジエーター固定後に元へ戻している。
自作PCではこの程度のひと手間は珍しくないものの、Vision 330 CR ARGBは見た目以上にトップ開口部の幅がタイトであることが分かった。360mmクラスの大型ラジエーターを組み込む際は、あらかじめ周辺ファンとの干渉を想定しておきたい。
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| 出荷時の状態では「TH360 V3 Ultra ARGB Sync Black」のラジエーター(長さ397mm)は開口部の幅が足りない。回避方法としてリア120mmファンを一度取り外せば問題なく挿入ができた | |
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| ラジエーターのネジ穴をチェック。スリットタイプだけに、全てのネジ穴でネジ留めができている |
最後にグラフィックスカードを搭載してみよう。用意したのはGeForce RTX 4080 SUPER Founders Edition。厚さ61mmの3スロット占有ハイエンドモデルで、カード長304mm、幅137mmとされる。
作業手順は、再利用不可の打ち抜き式(ブレークオフ式)拡張スロットカバーを3スロット分取り外し、そこへGeForce RTX 4080 SUPER Founders Editionを装着。付属のインチネジ「Screw #6-32 x 6 mm」で固定していく。なお、筐体外部の拡張スロット右側には、ハンドスクリュー1本で留められた拡張スロット化粧カバーがあり、あらかじめこれを開放しておく必要がある。
グラフィックスカードの有効スペースは最大420mmまでと十分で、搭載後も曲面強化ガラス製フロントパネル内側まで約140mmの余裕を残した。さらに、ボトム面にマウントされた3基の120mmファンとの間隔も約38mmあり、大型カードでも圧迫感は少ない。16ピン(12+4 / 12VHPWR)電源ケーブルは、サイドファン横のスルーホールを経由し、グラフィックスカード下側から引き回して配線している。
組み込み作業を終え、起動してしばらく眺めているうちに感じたのは、曲面強化ガラスによるパノラマビューと、標準搭載ファンの発光の美しさだ。アドレサブルRGBファン計6基を標準で装備しながら、実売約13,000円級のコストパフォーマンスは、Vision 330 CR ARGB最大の魅力であり、強みと言っていい。
そもそも発光系PCが苦手な筆者でさえ、ローテーションで発色パターンが変わる様は、価格以上の高級感も感じることができる。PCパーツの価格上昇というネガティブな話題が目立つ市場で、追加投資が最小限で最大限の魅せるPCが構築できる点は、大いに○な部分だろう。
一方で、気になる点もある。まずマザーボードトレイの面積はややコンパクトで、ATX規格マザーボードを搭載すると利用できるスルーホールが大きく制限される。とくにアクセス頻度の高い下部開口部が塞がれてしまう点は惜しい。ただし、ボトム面の120mmファン3基とグラフィックスカードがピンヘッダ周辺を視覚的に隠してくれるため、底面を這わせたケーブルが思ったほど目立たない点は補足しておきたい。
また、ハイエンドクラスの構成パーツを満載すると、筐体全体にわずかな歪みが生じる。とくに曲面強化ガラスを閉じる際、空の状態に比べて開閉がやや渋くなる感触があった。ただし、いったん閉じてしまえば、この大型ガラスパネル自体が構造材の一部として機能し、剛性感はしっかり高まる。
それでも販売価格を考えれば、完成度は及第点を大きく上回る。Thermaltakeの勢いを感じさせる、コストパフォーマンス重視時代の“魅せるPCケース新定番”と呼べる1台だった。
提供:Thermaltake Technology
株式会社アスク

