エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1660
2026.05.04 更新
文:編集部 絵踏 一/検証:池西 樹/撮影:松枝 清顕
それではとにかく容量だけを気にすればいいかと言うと、話はそう簡単ではない。実際にメーカーの製品ページを軽く覗いてみただけでも、容量や見た目だけでなく、複数の異なるスペックをもつ多数のラインナップが並んでいることに気付くはずだ。これらの各種スペックは、それぞれどのような意味をもっているのだろうか。
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| メモリのスペックの持つ意味を理解すれば、多数のラインナップから最適なモデルが選べる |
まず注目すべきは“6,000MT/s”などと表記されている、メモリスピードを表すデータ転送レートの数値だ。「MT/s」(メガトランスファー毎秒)とは1秒間に何百万回データを転送できるかの指標で、6,000MT/sの場合は1秒間に60億回のデータ転送が行えることを意味している。そのためこの数値が大きいほど、より多くのデータが転送できるというわけだ。
これは一般的に「MHz」で表記されるメモリクロックと同じで、そのまま読み替えることが可能。近年では内部的なクロック信号との混同を避けるため、(CORSAIRをはじめ)より正確にデータ転送レートを示す「MT/s」表記を採用するメーカーが増えつつある。
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5,600MT/s対応メモリの仕様をCPU-Zでチェック。現行の(DDR5を含む)DDRメモリは1回のクロック信号で2回のデータ転送が可能なため、クロック信号自体はメモリスピードの半分になる |
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| メモリタイミングは4つの数値を連ねて表記されている |
続いては、スペック表において「40-50-50-96」などと表記されているメモリタイミングについて。
これらは左から順番に、データを処理する上で列アドレス(CAS)を指定してから実際にデータが読み出されるまでの待ち時間を示す「CL(CAS Latency)」、行アドレス(RAS)から列アドレスにアクセスするまでの待ち時間である「tRCD(RAS to CAS Delay)」、行を閉じて次の列アクセスに備える待ち時間の「tRP(Row Precharge Time)」、特定の行が有効になってから再び閉じることが可能になる最短時間の「tRAS(Active to Precharge Delay)」を意味している。
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| メモリ本体には、メモリスピードや容量などとともに、メモリタイミングも記載されている |
ただし基本的にメモリ選びで参照されるのは、最も重要な指標である「CL」(単にレイテンシとも呼ばれる)だ。端的に言うと、CPUから「データを出せ」と命令を受けてから実際にデータ転送が行われるまでの待ち時間であり、この数値が低いほど遅延が少なく優秀ということになる。つまりシンプルに高速なメモリが欲しい場合は、メモリスピード(データ転送レート、MT/s)が高くレイテンシ(CL)が低いモデルをチョイスすればいいというわけだ。
なお、「V」の値で表記されているのはメモリ電圧で、文字通りメモリをスペック通りに動かすために必要な電圧を示している。メモリスピードが高い“オーバークロック仕様”の場合はこの電圧も高めに設定されており、性能向上と引き換えに発熱と消費電力が増加する点は覚えておこう。
もしハイスペックなメモリを選んだとしても、ただ組み込むだけではスペック通りの性能を発揮させることはできない。メモリを組み込んだ場合、通常は業界団体のJEDECで定められた規格(DDR5-4800など)で動作するため、高性能なオーバークロックメモリを使用する際はUEFI画面での設定が必要になる。
もっとも現行のメモリはオーバークロックを自動化するメモリプロファイルを搭載しているため、設定自体は非常に簡単。かつてのように手動で難解な設定にチャレンジすることなく、ワンタッチでメモリスピード(メモリクロック)やメモリタイミング、電圧などの設定情報を適用できる。
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| Intelプラットフォームの場合、「XMP Profile」設定から「Profile 1」を選択するだけで、最適なクロックやタイミングが自動的に適用される |
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| AMDプラットフォームの場合も同様。ここで認識されているメモリには、Intel XMPだけでなくAMD EXPOのプロファイルも搭載されていることが分かる |
メモリプロファイルは主にIntelプラットフォーム向けの「Intel XMP」と、AMDプラットフォームに対応する「AMD EXPO」の2タイプが存在する。どちらもUEFI画面で該当するプロファイルを選択するだけで、メモリモジュール上のSPD(Serial Presence Detect)に保存された設定情報を読み込み、お手軽に性能を最大限に引き出すことが可能だ。
ちなみにどちらのプロファイルに対応しているかは、使用するメモリおよびマザーボード次第。ただし最近のマザーボードは、基本的に両方のプロファイルが読み込めるようになっているため、どちらか片方のプロファイルしか持っていないメモリでも問題なく使用できることが多い。

