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最終更新日 2026年6月16日 18:47

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エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1671

Noctua初のAIO水冷「NL-LC1」徹底解剖 ~AIO水冷市場を見続けた17年の答え~

2026.06.16 更新

文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)

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AIO水冷 CPUクーラー Noctua

NoctuaはなぜAsetek「Emma V2」を選んだのか

NL-LC1シリーズの心臓部となるポンプユニットには、Asetek(本社:デンマーク)の最新プラットフォーム「Emma V2」が採用されている。

多くのAIO水冷ユニットに採用されているAsetekは、これまで20年以上にわたりAIO水冷市場をけん引してきた老舗メーカーであり、AMDやIntel、Dell、HP、Lenovoなどにもソリューションを提供してきた実績を持つ。Noctuaは今回、自社でポンプ機構を一から開発するのではなく、”現時点で最も完成度が高いと判断した”Asetekの最新世代プラットフォームをベースに選択した点は非常に興味深い。

Noctua「NL-LC1」
Asetek歴代ポンプ比較。Emma V2は単に高性能なだけではない。性能当たりの消費電力も大幅に改善されている(提供:Noctua)

Asetekによれば、Emma V2は従来世代「Sigrid V2」と比較して、同一騒音レベルにおいて約58%高い流量と124%高い揚程を実現。現在主な市場向けに展開されている「Ingrid」プラットフォームと比較しても、約13%高い流量と約21%高い揚程を発揮するという。

Noctua「NL-LC1」
Emma V2ではポンプハウジング内部の流路も最適化。流路抵抗や不要な乱流を抑えることで、高流量化と効率向上を図っている(提供:Noctua)

特に注目したいのが、Emma V2で初採用されたクローズドインペラ設計だ。インペラ内部の流路設計やポンプハウジングの最適化に加え、新開発の高トルク3相モーターを組み合わせることで、従来世代よりも高い冷却性能と静粛性を両立している。

Noctuaが目指したのは、単に「冷えるAIO水冷」ではない。まずは業界最高水準のポンププラットフォームを採用し、その上に独自の静音技術やマウントシステムを積み上げることだった。NL-LC1シリーズは、その思想を具現化した製品と言えるだろう。

Noctua「NL-LC1」
Emma V2ではポンプ性能だけでなく、コールドプレート内部の流路設計も最適化。高密度化されたマイクロフィンへ冷却液を効率よく送り込み、熱交換性能の向上を実現している(提供:Noctua)

なお、Asetekはさらに新世代となるEmma V3プラットフォームも展開しているが、NL-LC1シリーズではEmma V2を採用している。Noctuaによれば、Emma V2は流量や揚程、静音性などのバランスに優れたプラットフォームであり、同社が求める性能要件を満たしていたという。

「NL-LC1」の本命はポンプノイズだった

Emma V2は現時点におけるAsetekのフラッグシッププラットフォームであり、冷却性能や効率、信頼性の面で極めて完成度の高いソリューションと言える。しかしNoctuaがNL-LC1シリーズの開発において着目したのは、流量や揚程といったスペック競争ではなかった。

Noctuaが着目し、問題視したのは、AIO水冷に付きまとう「ポンプノイズ」だ。

近年のAIO水冷は冷却性能の向上と引き換えに、ポンプ回転数の高性能化が進んでいる。一方で、ポンプから発生する高周波ノイズや微細な振動は、静音性を重視するユーザーにとって依然として無視できない存在だった。

そこでNoctuaが開発したのが、NL-LC1シリーズ専用のポンプノイズ吸収機構「NL-PNA1(Pump Noise Absorber)」だ。

Noctua「NL-LC1」
NL-PNA1は3層構造の吸音材とシリコンマウントを組み合わせることで、ポンプから発生する空気伝搬音と構造伝搬音の双方を抑制する(提供:Noctua)
NL-LC1_05
NL-PNA1内部の実物。資料で解説されている3層吸音構造のうち、ポンプ直上に配置されるオープンセルフォームを確認できるほか、振動伝達を抑制するシリコンマウントも備える

外観だけを見ると、ポンプヘッド上部を覆う大型カバーに見える。しかしこれは単なる装飾パーツではない。Noctuaによれば、NL-PNA1は空気伝搬音と構造伝搬音の両方を抑制することを目的に設計された、世界初の統合型ポンプノイズアブソーバーだという。

その内部には3層構造の吸音材が組み込まれている。ポンプ直上には高周波成分を吸収するオープンセルフォームを配置し、その上に低周波を遮断・反射する高密度マスバリア、さらに残留ノイズを吸収する第3層を重ねることで、広い周波数帯域のノイズ低減を狙っている。

さらに興味深いのが、Noctuaが「チューンドマスダンパー(Tuned Mass Damper)」の考え方を採り入れた点だ。これは高層ビルや橋梁、自動車などで利用される振動抑制技術で、振動源とは逆方向に質量体を動かすことで振動エネルギーを打ち消す仕組みである。NL-PNA1では吸音フォームやシリコンマウントがバネの役割を担い、高密度マスバリアと外装シェルが質量体として機能することで、ポンプから伝わる振動を効率よく減衰させるという。

Noctua「NL-LC1」
高層ビルや橋梁などでも採用されるチューンドマスダンパーの原理を応用。吸音材と高密度マスバリアを組み合わせることで、ポンプから伝わる振動エネルギーを効率よく減衰させる(提供:Noctua)

つまりNL-PNA1は、単にポンプ音を覆い隠すためのカバーではない。吸音材によるノイズ対策と、チューンドマスダンパーによる振動抑制を組み合わせた、Noctua流の静音化ソリューションというワケだ。

Noctua「NL-LC1」
スペクトログラムによる比較。NL-PNA1装着時は3kHz前後を中心とした高周波成分が減少しており、時間軸で見てもノイズ低減効果を確認できる(提供:Noctua)
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音量ではなく「音質」の改善を目指したNoctua
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