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最終更新日 2026年6月11日 23:09

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エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1670

これで全てが分かる。Antec「ST20M」徹底解説

2026.06.11 更新

文:撮影・編集部 松枝 清顕

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Antec PCケース ミニタワー

ST20Mのケーブルマネジメント事情

とかく内部容積が限られたコンパクトPCケースでは、配線の取り回しが搭載性そのものに影響することがある。ST20Mでもその一例として、マザーボード上のUSB 2.0コネクタの位置や向きによっては、3.5インチHDDと干渉してしまうケースが確認できた。

今回使用したMSI「B850M GAMING PLUS WIFI」では、USB 2.0コネクタが底面のストレージ搭載スペースに近接している。さらに3.5インチHDD搭載エリアとのクリアランスも限られており、USB 2.0ケーブルを接続すると物理的に干渉してしまい、3.5インチHDDを搭載できなかった。

Antec「ST20M」
USB 2.0コネクタケーブルを接続すると、3.5インチHDDが搭載できない。回避方法はフロントアクセスポートを諦めるか、2.5インチSSDの1台体勢にするか

特定のマザーボードで発生するケースではあるものの、ストレージ構成によっては事前に確認しておきたいポイントと言えるだろう。

ちなみに2.5インチSSDのSATAケーブルには、アイネックス「SAT-3003UBL」を使用した。狭い筐体で扱いやすい“片上L型”コネクタを採用しており、マザーボード上のSATAコネクタとフロントパネル側ストレージベイの短い距離でも無理なく接続できる。今回は3.5インチHDDを搭載しなかったため、ケーブルはケース幅を横断する形で配線している。

Antec「ST20M」
右向きSATAコネクタはフロントパネル間とのストロークが約25mmしかない。こんな時に便利なのが”片上L型”コネクタだ

また、グラフィックスカードを搭載すると、マザーボード中段から下段にかけてのエリアにはほとんどアクセスできなくなる。そのため2.5インチSSDやフロントパネルコネクタ、各種ピンヘッダ類の接続は、グラフィックスカードを装着する前に済ませておきたい。

必要であれば、この段階でケーブルの結束作業まで終えておこう。最後にグラフィックスカードの補助電源ケーブルを接続すれば、配線作業はほぼ完了となる。

Antec「ST20M」
電源ケーブルの接続を残すだけの状態。2.5インチSSDのSATAケーブルは斜めに横断しているが、左サイドパネルはソリッドタイプなのでお構いなしだ

グラフィックスカードを搭載してみる

ST20Mの拡張カード有効スペースは長さ265mmまで。さすがに大型の3スロットクラスとなるGeForce RTX 50シリーズの多くは厳しいが、本稿ではASRock「AMD Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OC」(型番:RX9060XT CL 16GO)を用意した。外形寸法は幅132mm、長さ249mm、厚さ41mm(645g)で、公称スペック上は問題なく搭載できるサイズだ。

Antec「ST20M」
拡張スロット化粧カバーはよくある開閉式ではなく、ぽろっと外れるタイプ。剥き出しの固定部を隠すとともに、開口部を塞ぐ役割を果たしている
Antec「ST20M」
全長249mmのグラフィックスカード。搭載作業時はカード斜めに傾けながら挿入しないと、左右フレームに干渉してしまった

搭載にあたっては、まずインチネジ1本で固定された拡張スロット化粧カバーを取り外し、打ち抜き式(ブレークオフ式)の拡張スロットカバー2本分を切り離す。その後、グラフィックスカードを装着し、付属の六角インチネジで固定するだけと作業自体は難しくない。

ただし内部スペースには余裕が少なく、全長250mm前後のカードでもそのまま真っ直ぐ挿入することはできなかった。評価機では筐体をやや傾けながらカードを斜めに差し込み、位置を合わせてPCI Expressスロットへ装着している。対応サイズ内であっても、長尺カードを搭載する際は少しコツが必要だ。

Antec「ST20M」

なお、評価機の補助電源コネクタはカード側面に配置されているため、電源ケーブルの取り回しも問題なし。AMD Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OC搭載後のフロントパネルまでのクリアランスは実測で約25mmとなり、公称値どおり265mmクラスまでのグラフィックスカードであれば十分搭載可能であることを確認できた。

総評:Antec「ST20M」の[○]と[×]

売価税込3,480円に反応したのは筆者だけではないだろう。昨今はどこを見渡しても価格高騰が続き、自作PC業界も例外ではない。そんな中、圧倒的なコストパフォーマンスを武器に登場したST20Mは、最新トレンドを積極的に取り込んだPCケースではない。むしろその逆で、装飾や複雑な機構を徹底的に削ぎ落とし、スチールプレス主体の合理設計へ回帰した製品だった。

Antec「ST20M」

部品点数や組立工程の削減を徹底しながらも、各部のエッジを折り返して断面強度を確保することで、価格帯を考えれば十分な剛性感を実現している。余計な仕掛けがないからこそ、かえって安っぽさを感じさせない。シンプルであることは、ST20Mにとって大いに[○]なポイントと言えるだろう。

Antec「ST20M」

とはいえ、現実的には内部容積が限られ、裏配線スペースも存在しない構造は少々扱いづらい。冷却は空冷限定となり、検証環境ではUSB 2.0コネクタとの干渉によって3.5インチHDDを搭載できなかった。またリアファンはペリフェラル4pin接続で、ケーブルマネジメントの自由度も高くない。こうした点は確かに[×]だろう。しかし、この種のPCケースを選ぶユーザーにとっては、ある意味で織り込み済みの要素でもある。ここに強い不満を感じるのであれば、そもそも選択肢から外れるはずだ。

Antec「ST20M」

かつては、このような「人を選ぶ」PCケースが数多く存在していた。しかし現在では、そうした製品はほとんど見られなくなっている。そんな時代に登場したST20Mは、単なる低価格モデル以上の意味を持つ1台だと筆者は思う。

俗に言う「こういうのでいいんだよ」

そんな声に応えてくれるPCケースを待っていたユーザーは、今でも確実に存在しているはずだ。

協力:Antec
株式会社リンクスインターナショナル

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