エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1670
2026.06.11 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ST20Mの内外装を確認したところで、実際に構成パーツを組み込みながら作業性をチェックしていこう。コンシューマ向けPCケースではあるものの、Antecの主力モデルと比べると公開情報は少なく、グローバルサイトでも執筆時点ではPDF形式のフライヤーが用意されるのみで、詳細マニュアルは公開されていない。
構造自体はシンプルだが、コンパクトPCケースならではの制約や注意点も存在する。ここでは実際の組み込み作業を通じて見えてきたポイントや、各パーツ搭載時のクリアランス、気になった点などを中心に解説していこう。
マザーボードにはMicroATX規格(243.84 × 243.84mm)に準拠した、MSI「B850M GAMING PLUS WIFI」を用意した。なおST20Mは右サイドパネルを開放できず、当然ながらCPUクーラーメンテナンスホールも備えていない。そのため、バックプレートを用いて固定するCPUクーラーを使用する場合は、マザーボードを取り付ける前にCPUクーラーを装着しておく必要がある。
搭載方法は、マザーボード搭載エリアに装着済みの円形スタンドオフ計6本に対し、付属のワッシャー付きミリネジで固定していく。作業性については、開口部を妨げるものはないものの、筐体そのものがコンパクトなため、一般的な長さのドライバーでは一部ネジ留めしにくい箇所もある。手持ちがあれば、先端に磁力のある軸が長めのドライバーを用意しておくと便利だ。
搭載後のクリアランスは、トップパネルまでが約97mm、フロントパネルまでが約25mmをそれぞれ確保できた。なお、リンクスインターナショナルの製品情報には「マザーボード上のUSBピンヘッダーやSATA端子の向き・ケーブルのコネクタ形状によってはケース本体と干渉する場合があります」と注意書きが記されている。ここで、実際の周辺状況を確認してみよう。
画像のように、SATAコネクタが右向きに配置されている場合、フロントパネルまでの距離は約25mmしかない。そのため、ストレートタイプのSATAケーブルではコネクタ部の逃げが確保しづらく、かなり厳しい状況になりそうだ。汎用のL字型SATAケーブルを用いた場合でも、上下2段構成のSATAコネクタのうち、片方しか使用できない可能性がある。小型PC向けの省スペースコネクタ類も存在するため、必要に応じてそうしたアイテムで工夫するのが現実的だろう。
ちなみに、マザーボード右上部と、フロント右上エリアに搭載されるスイッチおよびアクセスポート類の基板は非常に近い位置関係にある。物理的に干渉することはないが、内部がかなりタイトに設計されていることが分かるポイントだ。
コンパクトなST20Mに搭載できるCPUクーラーは、全高150mmとされている。内部構造からも分かるように、オールインワン型水冷ユニットの搭載はサポートされていないため、冷却手段はおのずと空冷のみとなる。
そこでCPUクーラーには以前詳細検証をお届けした、Noctua「NH-L9x65 chromax.black」をチョイスした。92mmファン(14mm厚)を搭載するトップフロー型CPUクーラーで、全高65mmに抑えられたロープロファイルモデルだ。
有効スペースに対してかなり背の低いCPUクーラーを選択したこともあり、搭載後のサイドパネルまでのクリアランスは実測で約95mmを確保。吸気を妨げる要素はほぼなく、トップフロー型CPUクーラーとしては十分に余裕のある内部空間と言える。
マニュアルの搭載手順では、マザーボード→グラフィックスカードだが、今回は電源ユニットを先に搭載してみた。搭載テストに用意したのは、奥行き140mmで、120mmファンを搭載するAntec「GSK850 ATX3.1 White」。必要なケーブルだけを接続できるフルモジュラータイプをチョイスした。
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| 搭載後の様子。フロントパネルまでは距離があるため、必要なケーブル類は電源ユニット本体固定後でも抜き挿しができそうだ |
搭載後のクリアランスは、フロントパネルまでが約120mmだった。コンパクトなミニタワーを忘れさせるほどのスペースが確保できており、極端に窮屈さを感じることはない。ただしST20Mは裏配線スペースを持たず、ケーブルマネジメントにも特化していない。そのため、不要なケーブルを省けるモジュラー式電源ユニットを選択したいところだ。

