エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1665
2026.05.22 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
冷却にはSilverStoneの360mmラジエーター搭載オールインワン型水冷ユニット「IceMyst 360」(型番:SST-IM360-ARGB)を用意した。
FLP03で360mmサイズのラジエーターを搭載できるのはトップパネルのみ。ただし、メーカー仕様にも5.25インチデバイスとの互換性確認が注記されており、搭載時は5.25インチオープンベイが最大2段分使えなくなる点に注意したい。
|
|
| 5.25インチオープンベイの左右幅を調整する“コの字型パーツ”は、360mmサイズラジエーター搭載時に必ず干渉する部分。ネジ留め式としているのは、必要に応じて取り外せるよう配慮されているためだ | |
「最大」としたのは、ラジエーターから伸びるチューブの向きによって占有範囲が変わるためだ。チューブを後方に逃がすレイアウトであれば、最上段のみの占有に収められる可能性がある。一方で、2段目に光学ドライブを搭載する場合は、ラジエーター(27mm厚)+120mmファン(25mm厚)とのクリアランスがかなり近く、冷却性能に影響が出る可能性がある。また多くの場合、チューブを後方に向けるとリア120mmファンと干渉し、同時搭載は難しい。
このように、トップ360mmラジエーター対応とはいえ、実際の構成ではいくつかの制約が出てくる。とはいえ、こうした干渉やレイアウトの折り合いを探るのも、自作PCらしいポイントと言えるだろう。
|
スリットネジ留めのリア120mmファンを最も下に固定した場合でも、ラジエーター(+冷却ファン)とはかなり接近するためチューブを後方に逃がしにくい |
搭載作業では、ラジエーター(+冷却ファン)を挿入する際に“安全な角度”を探る必要こそあるものの、トップパネルへ固定してしまえば、ウォーターブロック側の作業はPCケースに大きく依存せず、スムーズに進めることができた。
配線作業も比較的容易で、上部スルーホールの扱いやすさが印象的だ。これは、MicroATX対応ミニタワーとしては全高に余裕を持たせた設計による恩恵だろう。また、このPCケースでフロントに大型ラジエーターを搭載するユーザーは少数派と思われ、トップラジエーター前提で縦方向のクリアランスを確保した設計は、うまく機能しているように感じた。
組み込みセッションの最後に、グラフィックスカードを搭載してみよう。FLP03はスペック上、最長413.6mmの拡張カードに対応する。そこで検証にはNVIDIA GeForce RTX 4080 SUPER Founders Editionを使用した。カード長304mm、幅137mm、厚さ61mmの3スロット占有モデルで、ハイエンドGPUとしては標準的ながら、重量感は十分にある。
搭載手順はシンプルだ。まず背面のハンドスクリューを緩め、開閉式の拡張スロット化粧カバーを開く。続いて3スロット分の拡張スロット金具を取り外し、GeForce RTX 4080 SUPER Founders EditionをPCI Expressスロットへ装着。カードをインチネジで固定し、化粧カバーを元に戻した後、16ピン(12+4ピン / 12VHPWR)電源ケーブルを接続すれば作業は完了する。
|
ハンドスクリュー1本で固定された、拡張スロット化粧カバーを開き、拡張スロット金具固定用のインチネジを流用。 |
最後に、あらかじめ取り外しておいたGPUサポートブラケットを再装着。グラフィックスカードの高さに合わせて支持部を調整すれば、長尺・重量級カードの垂れ下がりを抑えられる。さすがにPCケース備え付けのパーツだけあり、汎用品よりも収まりがよく、カードをしっかり支えられている印象だ。
なお搭載後のクリアランスは、フロントパネルまで約120mm、PSUシュラウドまでは約50mmだった。余裕は十分で、GeForce RTX 4080 SUPER Founders Editionクラスであれば、作業性を大きく損なうことなく搭載できることがわかった。
|
| 全長300mm以下で200mmを超えるグラフィックスカードなら、GPUサポートブラケットを後方へ移動させればいい |
当初、多くのユーザーはSilverStoneのレトロデザインPCケースを“企画もの”と捉えていたはずだ。しかし、既存シャーシを活用しつつ、いにしえのDOS/V機を彷彿とさせるデザインへ落とし込む手法は想定以上の反響を呼び、第3弾となる「FLP03」では、ついに専用設計シャーシへと発展した。新規金型を用いてMicroATXケースを新たに設計したことからも、SilverStoneが本シリーズを本気で展開していることがよく分かる。
一見すると懐古趣味へ振り切った製品にも見えるFLP03だが、内部設計や拡張性、冷却対応をチェックすると、その実態は現代的なハイエンド構成にも十分応えられるMicroATXケースだった。これこそFLP03の[○]な部分と言えるだろう。
一方で[×]な部分を挙げるなら、トップパネルへ360mmサイズラジエーターを搭載した際、5.25インチオープンベイが最大2段使えなくなる設計だ。そもそもFLP02 / FLP03における5.25インチオープンベイは、90年代DOS/V機らしさを象徴する重要な要素でもある。それだけに、冷却構成によっては“レトロ感”を損ねてしまう点は惜しい。
もっとも、レトロデザインだからといって、内部構成まで旧世代に合わせる必要はない。360mmラジエーターによる高性能冷却を優先し、入手性が限られる光学ドライブを無理に組み込まない選択も、現代の自作PCとしては合理的だろう。
“古き良きDOS/V機”の空気感を、2026年の自作PCへ持ち込みたいユーザーにとって、FLP03は極めてユニークな存在だ。30年越しのレトロデザインを最新ハードウェアで楽しむ――その遊び心こそ、SilverStoneの狙いそのものではないだろうか。
提供:SilverStone Technology

