エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1040
2021.08.19 更新
文:撮影:松枝 清顕(解説)/ 検証セッション:池西 樹
最後に非接触型デジタル温度計によるヒートシンクのポイント別温度と、サーモグラフィの結果を確認していこう。CPUはCore i9-11900Kで、「Adaptive Boost」は有効。ストレステストは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を使用している。
高負荷時のポイント別温度計測結果 |
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
発熱の多いCPUでテストを実施したこともあり、全体的にヒートシンクの温度は高め。またCPUから離れるに従って温度が低くなるCPUクーラーとしては理想的な温度分布になっている。またサーモグラフィの結果を確認すると、周囲の温度に比べてヒートパイプの温度が明らかに高く、CPUから発生した熱がヒートパイプによって移動している様子が伺える。
かつてラウンド形状のトップフロー型CPUクーラー「CNPS 7500 ALCU」や8の字型ヒートパイプ「CNPS9500A LED」を所有していた者として、「CNPS10X PERFORMA BLACK」はまったくもってZALMANらしからぬ、オーソドックスなサイドフロー型CPUクーラーという印象だ。
奇抜な形状のPCパーツはすっかり市場からは姿を消し、それをウリにしてきたZALMANにとっては、個性を出しにくい時代になっているのかもしれない。主たる仕事である冷却性能については、まさに群雄割拠。恐らく市場には”冷えないCPUクーラー”よりも”冷えるCPUクーラー”が多く流通しているのではないだろうか。ひと頃のようにハズレが少なく、いずれも高性能化している事は間違いない。
そんなライバルひしめくカテゴリにあって、「CNPS10X PERFORMA BLACK」からZALMANの健在ぶりを目の当たりにした。設計自体は正攻法で、奇をてらうことの無いサイドフロー型。そこにオールブラック仕様で個性を主張し、IntelやAMDの上位CPUをしっかり冷やしている。
とは言え、常用に足りる冷却性能は多くのCPUクーラーが既に持ち合わせている。ひとつ抜きん出るにはどんな要素が必要だろう。自作PC史上で若干の空白を作ったZALMANだが、PCケースの爆発的ロングセラーが生まれた事実は強烈なインパクトを残した。さて、本来専門である冷却機器部門からも、ロングセラーが生まれるだろうか。発売間もない「CNPS10X PERFORMA BLACK」に注目したい。
協力:ZALMAN
株式会社アスク