エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1000
2021.05.21 更新
文:池西 樹(検証)/文・撮影:松枝 清顕(解説)
ここからはIntelの最新フラッグシップであるCore i9-11900Kを搭載したPCにNoctua「NH-U12S redux」を組み込み、その冷却性能をチェックしていこう。ストレステストは「OCCT 8.0.2:CPU:データセット大」と「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」の2種類で、CPUの温度およびファンの回転数の取得は「HWiNFO64 v7.02」を使用した。なお冷却ファンは標準のシングル構成に加え、「NA-FK1」を使いデュアルファン構成にした状態でも計測を実施。また比較対象としてNoctua「NH-U12S」も用意した。
第11世代Intel Coreプロセッサの最上位モデルCore i9-11900K。なお今回はUEFIの「CPU Power Limit Unlock」を「Enabled」に設定し、最も性能が出る設定で計測を行った |
CPUの温度やファンの回転数の取得には「HWiNFO64 v7.02」を使用 |
UEFIのファンコントロール機能は標準設定の「Standard Mode」を選択している |
まず「OCCT 8.0.2」の結果を確認すると「シングルファン」の平均は約75℃、「デュアルファン」の平均は約72℃で、ファンを追加することで約3℃温度を下げることができた。また「NH-U12S」の温度は「シングルファン」とほぼ同等で、冷却性能のみを考えると今回検証した中では「NH-U12S redux」の「デュアルファン」が最も優秀だった。
続いてより負荷の大きい「CINEBENCH R23」の結果を確認すると「シングルファン」の平均は約83℃、「デュアルファン」の平均は約80℃でやはり「デュアルファン」化によって約3℃の差がついた。なお「NH-U12S」は前半が「シングルファン」よりやや低く、中盤はやや高め、ラストはほぼ同じで、平均値については「シングルファン」と大きな違いはなかった。
ちなみにCore i9-11900KのTjunctionは100°Cで、定格運用であれば今回検証したいずれの構成でも冷却性能には問題なし。「CINEBENCH R23」実行時のCPUクロックも4.80GHzで安定していた。
「NH-U12S redux」のファン回転数はいずれもアイドル時は700rpm前後、ストレステスト中は公称最大値となる1,700rpm前後で推移。ノイズレベルはアイドル時が33dBA前後でほぼ無音に近い状態。ストレステスト中は「シングルファン」が約39dBA、「デュアルファン」が約41dBAで、2dBAの差がついた。とは言え、実際に耳に聞こえてくる違いはごくわずか。PCケースに入れてしまえばその差を感じることはないだろう。
また「NH-U12S」はファンの最大回転数が1,400rpm前後で頭打ちになり、静音性はさらに優秀。フル回転でも38dBAに達することはなく、バラック状態でもノイズは全く気にならない。さらにファンの回転数が300rpm少ない状態で、「NH-U12S redux」の「シングルファン」と同等の冷却性能を発揮していることから、ヒートシンクの性能自体は「NH-U12S」のほうが高いことがわかる。