エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.882
2020.06.26 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ここからは、より現実のゲームプレイを想定した負荷環境をベンチマークテストで再現、その際の挙動をチェックする。まずはオンラインゲームの人気タイトル「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークソフトを動かしてみよう。グラフィックス設定は「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットを選択し、可能な限り高い負荷がかかるよう設定。30分間ループで動作させることにした。
ゲームベンチとしては軽めのタイトルだが、さすがに4K解像度での最高品質動作とあって、消費電力は最大450Wまで上昇。850Wの電源ユニットに対し、不足のない負荷がかかった。
テスト結果を見ると、「OCCT」時に近い傾向。テスト開始の際に一瞬出力が11.827Vまで落ち込む(といっても規格の範囲内)ものの、負荷動作中は11.880Vまたは11.933Vで推移するという流れ。ほぼ11.933Vに張り付いて動作しているのは、高めの平均値(11.927V)からも見て取れる。グラフ波形も極めてフラット。不規則な負荷がかかるゲームプレイ時であっても、極めて安定した挙動を維持できている。
次により重量級のゲームベンチとして、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークソフトを動作させてみる。描画品質は“高画質”で解像度は3,840×2,160ドットと、最も大きな負荷がかかるように設定。ループ再生にチェックを入れて、これまで同様に30分間のテストを行った。
4K HDRにネイティブ対応するなどハイエンド志向のタイトルとあって、消費電力は最大488Wという相応の数値に。ゲームプレイ時にかかる負荷としては、だいぶ大きめと言える。
さすがは重量級のゲームベンチということか、これまでとはやや違った傾向の結果に。ほんの一瞬だけだが、テスト開始時に+12Vの最大値が12.038Vと最小値の11.774Vをマークし、数値上の変動幅は最も大きくなった。ただしその後の負荷動作中は11.880Vまたは11.933Vで推移するお馴染みの傾向で、パワーを要求されるシチュエーションでは、一貫したブレのない挙動を示している。
このあたりの特性は、「OCCT」のような(日常ではあまりない)負荷テスト環境下をはじめ、より現実的なゲームベンチの動作中でも変わりはなかった。
これまで海外リリースで触れるだけだった、Deepcoolの電源ユニットがようやく日本市場に並んだ。エルミタ編集部に“実物”が届くのも初めてだったワケだが、さすがこれまでに多数の製品を手がけてきているだけに、その完成度は高い。
目立つギミックこそないものの、洗練された内部設計に裏打ちされた確かな信頼性は、まさにホンモノだ。メーカー保証はクラス最長の10年間が提供され、それでいてクラス最安という、驚きのコストパフォーマンス。フルモジュラーの80PLUS GOLD認証電源という裾野の広い市場において、キラーモデルになれる可能性を秘めている。
惜しむらくは、やや保守的なハウジング設計くらいだろうか。従来モデルと筐体が共通なのかもしれないが、奥行きを140mmに収められる程度の余裕が十分にあった。Deepcoolの検証によれば、電力変換効率も同クラス最高レベルとのこと。それを証明するようにヒートシンクサイズも極めて限定的で、小さく切り詰めても発熱に苦労することはないハズだ。
もっともそのあたりは後継に期待するとして、ミドルレンジの電源ユニットとしては、抜きん出た実力を備えていることは確か。価格面も文句の付けようがなく、素直にオススメしやすいモデルに仕上がっている。
協力:株式会社アスク
Deepcool Industries