エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.866
2020.05.09 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/池西 樹/撮影:松枝 清顕
Fractal Design「Celsius+ S36 Prisma」(型番:FD-W-2-S3602) 市場想定売価税抜31,900円前後(2020年4月17日発売) 製品情報(Fractal Design)(株式会社アスク) |
その分かりやすいネーミングから、ピンときた人もいることだろう。Fractal Designが新たに投入した「Celsius+」シリーズは、2017年6月に発売された「Celsius」シリーズの後継モデルにあたる。実に3年ぶりとなるオールインワン型水冷ユニットの全面リニューアルだ。
新シリーズは大きく2本柱の構成になっており、スタンダードな冷却ファンを採用する「Celsius+ Dynamic」と、アドレサブルRGBファンを搭載した「Celsius+ Prisma」をラインナップする。いずれもウォーターブロックのヘッドには、アドレサブルRGB LEDを内蔵。特に「Celsius+ Prisma」の場合は、全身をRGBイルミネーションでデコレーションできる、昨今のトレンドを強く意識したコンセプトが採用された。
「Celsius+ Dynamic」のファンはブラックのインペラ、「Celsius+ Prisma」のファンはホワイトのインペラを採用。なおウォーターブロックのアドレサブルRGB LEDはいずれのモデルにも搭載されている |
当たり前の変化のようでいて、Fractal Designをよく知るユーザーにとっては、やや驚きをもって受け止める向きもあるだろう。市場で絶大な人気を誇るPCケースは、洗練された“スカンジナビアデザイン”と揺るがない静音へのこだわりで知られ、ひときわ“硬派”なメーカーとして鳴らしてきた。前作の「Celsius」シリーズがリリースされた頃は、Fractal DesignがRGB LEDを前面に押し出した製品を投入するとは、予想だにしなかったと言う声が多数派ではないだろうか。
「Celsius+」では、イルミネーション機能が追加された一方で、DIY水冷との互換性は省略された。とは言え、最近ではDIY水冷の選択肢も増え、オールインワン型水冷とは完全に棲み分けができているので、大きな問題にはならないだろう |
しかしながら、人気モデルの「Define R6」や新型「Define 7」は最大級の大型ラジエターを無理なく運用できるPCケースとして人気であり、その中にはガラスパネルを装備した魅せるパリエーションを用意。さらに「Vector RS」のような魅せるPCケースとしての新解答もリリースされるなど、アドレサブルRGBで自己主張するオールインワン型水冷の投入もまた、既定路線だったと言える。
唐突に思えて決して“変節”ではない「Celsius+」シリーズ。ガラリと変わったデザインから、冷却性能や使い勝手に至るまで、あらためて丁寧に解説を進めていきたい。
「Celsius+」シリーズでは、いずれもラジエターのサイズは240mm、280mm、360mmの3モデルがラインナップ |
まずは「Celsius+」シリーズの概要からチェックしていこう。2本柱のラインナップは先に触れた通りで、“光らない”「Celsius+ Dynamic」は冷却ファンに「Dynamic X2」、アドレサブルRGB対応の「Celsius+ Prisma」は「Prisma ARGB」をそれぞれ採用。ラジエターサイズは、240mm/280mm/360mmの3種類だ。今回はその中から、「Celsius+ Prisma」の360mmラジエターモデル「Celsius+ S36 Prisma」を借り受け、検証を行っていく。
360mmラジエターと120mm口径のアドレサブルRGBファン「Prisma ARGB」を3基搭載するシリーズ最上位モデル「Celsius+ S36 Prisma」 |
ヘッドにアドレサブルRGB LEDが輝くウォーターブロックには、従来から設計を一新した第6世代の冷却エンジンを内蔵。水冷ポンプが一体化しており、ポンプヘッドを回転することで、インテリジェントな温度制御により、冷却性能と静音性のバランスを取る「AUTOモード」と、正確なマニュアル制御ができる「PWMモード」を切り替える「モード切り替え機能」を備えている。
チューブには、柔軟性に優れ摩耗の少ないナイロン製編組スリーブ付きの低浸透性ゴムチューブを採用。ラジエター部にケーブルを集約できる、前作で好評だったPWMファンハブには、新たにアドレサブルRGB LEDハブ機能が追加された。
ラジエターのファンハブには、アドレサブルRGB LED端子が新たに追加されている |
なお対応プラットフォームは、Intel LGA1150/1151/1155/1156/1366/2011/2011-3/2066、AMD Socket AM2/AM2+/AM3/AM3+/AM4/FM1/FM2/FM2+/TR4。オーバークロックCPUの冷却はもちろん、大規模メニーコアCPUのRyzen Threadripperにも対応している。
製品画像が大きくデザインされたパッケージ。サイズは実測で、横約470mm、縦約180mm、奥行き約145mm |