エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1052
2021.09.12 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ボトム部にも出荷時より140mmファンが3基装備されている。採用ファンは「Dynamic X2 GP-14 PWM」で、国内でも2019年6月に単体発売されており、スペックは回転数500~1,700rpm、騒音値10未満~33.7dBA、風量最大105.9CFMとされる。
ボトム面に3基の140mmファンを搭載する事で、底面からフレッシュな外気を常に取り込み、特に熱源となるグラフィックスカードに直接風を当てる事もできる。Fractalの想定するエアフローはグラフィックスカードに沿って、内部の熱を背面の通気孔付き拡張スロット金具やリアパネルから外部へ排出。ちょうどグラフィックスカードが上下エリアを二分するような役割を果たしている。掲げられているのはあくまで理想だが、実際にほぼ想定通りの風の流れは構築できるだろう。
なお120mmファン3基、または180mmファン2基にも換装が可能。ラジエターは120/140/240/280/360/420mmサイズが搭載可能。いずれも底面2本のハンドスクリューで固定されている着脱式ファンブラケットを介してネジ留めを行う事になる。
高エアフロー主義に疑いはないが、通常出荷時より装着済みである事が多い、背面の冷却ファン搭載スペースは空き状態。ここには120mmまたは140mmファンの増設用穴が設けられ、ユーザーの判断に任せられている。確かにフロントに180mmファンが2基、ボトム部に140mmファンが3基も搭載されていれば、発生した大風量で内部の熱は一気に排出してくれるだろう。
このように、外気を前と下から取り込み、複数の通気孔から吐き出すスタイルは正圧状態を作り出し、筐体内部全体の空気が常に入れ替わる。そして正圧状態である以上、冷却ファンが付かない通気孔からのホコリの侵入はそれほど気にする必要はなく、証拠に防塵フィルタは外気の入り口だけの装備に留められている。このように意味のあるリアの冷却ファン非搭載は、「Torrent」の主張と捉える事ができる。
次に解説する「Connect Nexus 9P Slim Fan Hub」は、9つのPWM接続が可能な便利なハブ。以前詳細検証をお届けした「Define 7」や「Define S2 Vision RGB」に装備されていたものとほぼ同等の機能を果たす基板で、「Torrent」では右側面前寄りの最下部に固定されている。
右端の「FAN1」コネクタはPWM対応CPUクーラー用。「FAN2」から「FAN9」までは標準装備の「Dynamic X2 GP-18 PWM」2基、「Dynamic X2 GP-14 PWM」3基を接続し、残り3口は任意で増設ができる。電源供給はSATAコネクタ接続による一括給電で、マザーボードのCPUファンコネクタにもデータケーブルを接続をする事で、パルス信号を読み取る事ができる。なお入出力は12V、最大入力電流は3A、最大入力電力は36Wで、マザーボードのファンコネクタを消費することなく、裏配線スペースで複数の冷却ファンの電力供給が賄える。
従来モデルに装備されているファンハブとは異なるスリムタイプへ進化 |