エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.20

~このレイアウトはただの斬新ではなかった~ SilverStone「RAVEN 2」 SST-RV02B-W 徹底チェック

2009.10.23 更新

文:GDM編集部 松枝 清顕

  • rss
  • Twitter
  • Facebook
  • google+
  • hatena
  • pocket
 第20回「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」は、特徴的なマザーボードレイアウトから“奇抜なケース”と思われがちなSilverStoneの意欲作第2弾「RAVEN 2(レイブン2)」(型番:SST-RV02B-W)の徹底チェックを行ってみたい。
 実はこのケース、発売当初より個人的にもかなり興味があり、今回は国内正規代理店であるマスタードシード株式会社の協力を得て、数週間のあいだ寝食を共にする事ができた。
 セールストークとしてこの「RAVEN 2」はゲーマー向けを標榜しつつ、残念ながらPCゲームには一切の興味を持たない筆者が実際に2週間程稼働させてみた感想は“想像以上に普通で良いケース”であった。
 今回は通常レビューに則り、その細部をチェックしたうえで、“非ゲーマーによるSLI環境”でのエアフロー状態を風速計を使って計測。またSilverStoneのプロダクトマネージャーに質問を投げかけ、さらには秋葉原PCパーツショップにお邪魔し、「RAVEN 2」の評判などを聞いてみることにした。
 さて、この「RAVEN 2」とは一体どんな性格を持ち合わせているのだろうか。
SilverStone「RAVEN 2」(SST-RV02B-W) 基本スペック
Form:E-ATX/ATX/MicroATX
素材:フロントパネルABS樹脂/ボディ0.8mmSECC
ファン
:トップ120mm排気×1
:ボトム180mm吸気×3
ベイ
:5インチベイ×8
:3.5インチシャドウベイ×3
:2.5インチシャドウベイ×1
拡張スロット:7
電源:無し
I/Oポート:USB2.0×2/音声入出力
サイズ:W212×H503×D643mm
重量:12.5kg
実勢価格19,800円(2009年10月末現在)

まずは「RAVEN」シリーズ誕生までを振り返る

逸る気持ちを抑えて、まずは「RAVEN 2」生みの親、SilverStone社について説明しよう。
 SilverStone Technology社は、2003年に台湾で設立されたPCパーツメーカーで、高級アルミケースというイメージ戦略にて国内市場でも認知度を上げ、ファンレス電源ユニットやCPUクーラー、汎用ファンなどの自作パーツを徐々に充実させた。
 さらに精力的に横置きモデルのいわゆる“HTPCケース”を積極的に展開をさせた後、フロントには肉厚のアルミニウム素材、シャーシ部には剛性の高いスチール素材を使ったデスクトップPCケースのリリースなど、時代のニーズに沿ったモデル展開を続け、現在に至っている。
 このように比較的短い時間でメジャーブランドの仲間入りを果たしたSilverStoneだが、そこは経験者集団が立ち上げたメーカーである事が大きく それに貢献しており、市場が今何を必要としているかを熟知しているからこそと言える。さらに同社のケースデザインは非常に独創的で、良い意味で掴み所がな い所に魅力を感じる自作ユーザーも少なくないだろう。これも玄人集団のなせる技なのかもしれない。

SilverStoneの自信作「RAVEN 2」登場

さていよいよ本題に入ることにしよう。今回取り上げる「RAVEN 2」(SST-RV02B-W)は、モデルネームに「2」とあるように、シリーズ第2弾となる。(ちなみに「-W」が付くモデルはアクリルパネル仕様を意味する)
 初代「RAVEN」(SST-RV01B)は、2009年1月にデビューを果たしている。常識はずれとも言える90度マザーボードを回転させるレイアウトを採用し、熱された空気が上昇する特性を十分に活かした合理的な構造が話題をさらった事は記憶に新しい。
 底面180mm吸気ファン2基に上面120mm排気ファン1基を備え、ハードディスクベイはカートリッジ式を採用。またフロントカバーの開閉ギミックなど、見所に尽きることは無かった。ただしセールスが必ずしも成功したとは言えず、最大のネックとなる27,000円前後の価格設定は、「欲しいけど買えない」という冷え込み気味の自作市場のニーズには十分に応えるには至らなかったのかもしれない。
 そこで登場するのがこの「RAVEN 2」だ。代名詞的な90度マザーボード回転レイアウトはそのままに、外観デザインも初代を踏襲している。ただし大きな違いは、マザーボード搭載面で、初代に対し「RAVEN 2」では一般的なケースと異なり、組込およびメンテナンスは正面右サイドパネル開閉に変更されている。(画像下参照)

「RAVEN」(SST-RV01B) 「RAVEN 2」(SST-RV02B)
初代「RAVEN」(画像左)と二代目「RAVEN 2」(画像右)のマザーボード搭載面は真逆。こうして並べると、マイナーチェンジではなく、フルモデルチェンジに近く、同コンセプトながら全く違った製品である事が判る

この比較画像を見れば分かるとおり、同じ「RAVEN」シリーズとは言え、大きなレイアウト変更がなされており、小変更で派生型を作る小手先の誤魔化しではなく、一貫したコンセプトを持ちながら全く違ったモデルが作られている事がお判り頂けるだろう。
 このように、初代デビューから1年足らずで新型を投入したSilverStoneのフットワークの良さ、そしてなにより「RAVEN」最大のネックとなっていた売価を見直し、「RAVEN 2」では実質7,000円のプライスダウンとなる実売価格20,000円を切る価格設定が実現し、前述の「欲しいけど買えない」ユーザーに対し、コスト面で見事訴求する事に成功している。(なお“初代デビューから1年足らず”と記したが、実は2009年6月に開催された「COMPUTEX TAIPEI」で既にブースデビューは果たされており、すでに先を見越したロードマップ上のモデルである事が判る)

この時点でプライスダウンによる改良点が気になるわけだが、その心配は全く無い。なぜそう言えるのかは以後の製品チェックで徐々に明らかとなるのでここでは省くことにするが、前述通り「RAVEN 2」は初代と同コンセプトながらフルモデルチェンジがなされた“独立モデル”であり、初代「RAVEN」と比較する事がそもそもナンセンスであった。

totop