エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1165
2022.07.06 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
FSP「Hydro GT PRO 1000W」(型番:HGT-1000) 市場想定売価税込20,900円(2022年7月1日発売) 製品情報(FSP / 株式会社アユート) |
いま華々しい主要パーツの影でひっそりと需要を増しているのが、1000W前後の大容量電源ユニットだ。システムが許す限り持続的な大電力を要求する第12世代Intel Coreプロセッサ、TGPが450Wに達するGeForce RTX 3090 Tiの登場など、特にハイエンドクラスを取り巻く電源事情は、ここしばらくで大きく様変わりした。ショップ店員も「CPU・グラフィックスカードともにハイエンド構成の場合は、迷わず1000W以上をオススメしている」と声を揃えるほどで、1000Wクラスが電源ユニットの新たな売れ筋になっている。
そんなタイミングでFSPから発売されたのが、今回主役として取り上げる「Hydro GT PRO」シリーズだ。ラインナップは850Wと1000Wの2モデル展開。ちょうど現在の大容量電源需要を見据えた新製品で、価格は同クラスにおける最安帯に設定されている。これからハイエンド構成のマシンを組もうという向きには見逃せない、コストパフォーマンス志向のニューカマーだ。
まずは手始めに、「Hydro GT PRO」シリーズの基本仕様をチェックしておこう。20~50%のシステム負荷率において90%の電力効率を発揮する、80PLUS GOLD認証を取得したミドルグレードの製品。ケーブルタイプは直結式の主要ケーブルとモジュラーケーブルを組み合わせた、セミモジュラー方式が採用されている。
コストパフォーマンスモデルらしいセミモジュラー仕様を採用する、大容量構成の80PLUS GOLD電源「Hydro GT PRO」シリーズ |
信頼性の指標になるコンデンサは、すべて日本メーカー製の105℃コンデンサを搭載。さらにゼロ電圧でメインのスイッチングが可能なLLC方式のDC-DCコンバータが組み込まれ、スイッチング時のロスを大幅に低減、高効率動作を可能にしている。+12V系は最大83.33Aのシングルレーン設計を採用、こちらも大出力を要求されるハイエンド向けを想定した仕様だ。
また、冷却機構には120mm径のFDB(流体軸受)ファンを搭載。静音かつ高耐久なベアリングを採用した冷却ファンで、背面に備える「ECOスイッチ」によりセミファンレス動作を切り替えることができる。
そのほか、OCP(過電流保護回路)、OVP(過電圧保護回路)、SCP(短絡回路保護)、OPP(過負荷保護回路)、OTP(過温度保護回路)の各種保護回路を搭載。MTBFは100,000時間以上とされ、メーカー保証は7年間に設定されている。
アーティスティックな「Hydro GT PRO」シリーズのパッケージ。ケーブル構成や内部設計のトピックなど、必要な情報はほぼ漏れなく記載されているようだ |
なお今回は、株式会社アユートより1000Wの上位モデル「Hydro GT PRO 1000W」(型番:HGT-1000)を借り受け、検証を行っていく。