エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.340
2014.07.13 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
近頃は、PCケースのスペック表で欠かせない項目のひとつに、CPUクーラーの有効搭載スペースがある。スリム型PCケースの「IW-CE685/300P」には、大型サイドフローCPUクーラーや、オールインワン水冷ユニットはさすがにマウントできない。おのずとトップフロー型CPUクーラーのチョイスになるワケだが、比較的高冷却なロープロファイルクーラーも流通しているだけに、CPU純正クーラーを我慢して使用しつづける必要はない。
なお「IW-CE685/300P」のCPUクーラー有効スペースは、実測で70mm強。吸気スペースの確保を考慮すれば、できる限り背の低いモデルを選択したい。
CPUクーラーは高さ60mm台のモデルをチョイスする必要がある。スリム型PCケースだけに、こればかりは仕方がない |
ケーブルマネジメントと言えば大げさだが、組み込みで余ったケーブル類の置き場所を考えてみよう。標準搭載されるTFX電源ユニットからは、必要最低限のケーブル(コネクタ)が用意されているため、処理に困る不要なケーブルは最小限。搭載できるドライブの数量も最大3台だけに、電源およびデータケーブルは各3本で済む計算だ。これらの組み込みで使用したケーブル類の置き場所には、5.25インチオープンベイユニット左の空きスペースが利用できる。無駄のない内部設計ながら、この部分には比較的余裕のある空間が確保されており、結束したケーブル等を押し込んでおく事ができる。
フロントI/Oポートから伸びるケーブルは、ナイロンフックで側面に固定。この空間を利用して、余ったケーブル類を収めて置く事ができる |
オーソドックスなスリム型PCケースが編集部に到着した時は、「一体これをどう料理すればいいのか」と、多少なりとも筆者の頭を悩ませた。日頃、紹介しきれない程のギミックが詰め込まれた“イマドキ”PCケースに囲まれているだけに、スリム型PCケースの検証はむしろ難しい。どこをアピールし、なにがポイントなのか。シンプルなだけに、より注意深く観察する必要があった。
とはいえ、In Win「IW-CE685/300P」検証もここまで辿り着く事ができた。振り返ってみると、筆者が持っていたスリム型PCケースのイメージとは随分と違い、それなりに「近代化」されていた。コンシューマ向けよりも組み込み用途のベース筐体、またはオフィス用筐体としての性格が強い「IW-CE685/300P」。しかし、そこは奇抜なオープンフレームスタイルや高冷却ミドルタワーPCケースを作るIn Winブランドだけあって、スリムPCケースに見合った仕掛けを用意してきている。
“イマドキ”の仕上がりだったスリムPCケースIn Win「IW-CE685/300P」 |
マザーボードのマウント以外、ネジや工具を使用しないツールフリー機構は、In WinのミニタワーPCケース「Dragon Slayer」で採用される仕掛けにも似て、イエローカラーのプラスチック部品をロック機構に、上手く使っている。さらに国内市場向けの「特別仕様」として、TFX規格の電源ユニット「IP-P300HF7-2」を標準装備させている点は、最大の武器と言えるだろう。容量300Wは最大システム構成でも十分に賄う事ができる。加えて電気的ロスが少なく、発熱を抑える事ができる80PLUS PLATINUM認証モデルは、贅沢過ぎると思うかもしれない。確かにこの電源ユニットを搭載した事で、市場想定売価は若干押し上げられてはいる。しかし限られた筐体内部容積だからこそ、高効率電源ユニットが必要なのだ。
スリム型PCケースとしては、上位クラスの「IW-CE685/300P」。特に組み込み用途におけるオフィスユースでは、大いに活躍してくれるに違いない。