エルミタ的業界インタビュー「オピニオン」 Vol.11 

自作ユーザーが満足するBuilt To Orderとは? BTOのサイコム訪問記

2012.10.01 更新

文:GDM編集部 Tawashi/絵踏 一

  • rss
  • Twitter
  • Facebook
  • google+
  • hatena
  • pocket

「わざわざ見に来る人もいたのです」。アキバ進出の可能性について

  • 編集部:
     少し話題は変わりますが、BTOを提供するメーカーさんとして、昨今のスマートフォン普及による影響はどのように捉えていますか。
  • 河野氏:
     当然ありますよね。例えば、本来ならパーツ購入に使う予算でiPhone 5を買ってしまう。ノートPCではなくiPadやAndroidタブレット、スレートPCにしてしまう。ただ、それは仕方がないことですよね。自分も自宅で使っていますが便利ですから。そういう時代ですよね。
     その一方で「ゲームはハイエンドなPC、さらに大画面でやりたい」といった層も確実に存在します。我々が狙っていかないといけないのはまさにそこ。ボリュームゾーンも大切ですが、さらにその上の層のハイスペックPCを求めるユーザーさんを常に意識しておく必要があると思っています。
  • 編集部:
     ハイエンドユーザーさんというと、どうしても秋葉原というキーワードが頭をよぎります。ただその秋葉原のショップも、最近ではクレバリーさんが倒産するという出来事もあり、全盛期と比べて数も減りました。少し離れた場所にあるサイコムさんから見て、最近の秋葉原はどのように見えていますか。
  • 河野氏:
     パーツ単体の販売が少ない、またリアル店舗がないといった自社の事情はありますが、同じ業界という意味では当然危機感を持っています。秋葉原にあるショップさんを見ながら、そこから良いところも悪いところも学びつつ、当社として出来ることを。お客さまに代わってPCを組み立てるという視点で、ターゲットを考えたパーツ選定から、しっかりと検証した自信のあるものをプロモーションする。やはりそこかなと思っています。
  • 編集部:
     今まで秋葉原に店舗を出すといった予定はなかったのですか。
  • 河野氏:
     ショールームは何度か検討しました。サイコムBTOのお客様はパーツに詳しいコアな方が多いですから。やはりそうなると秋葉原という街は、外せないキーワードかと思います。
  • 編集部:
     では現在も検討中なのでしょうか。
  • 河野氏:
     ハッキリとは考えていません。ただ、最近増えてきているのですが、実際に製作している現場が見たいとおっしゃって、わざわざ弊社まで足を運んでくださる方がいるのです。自分がパーツを見て、それを組んでもらいたいと。けして安いお買い物ではありませんから、中にはそういう方もいらっしゃいます。そのような意味ではリアルに実機が見られる場所というのは必要かもしれませんが、現時点では具体的に検討していません。

パーツ間の相性を自動判定、自作派垂涎のBTOシステム

    サイコムのWebサイトでの注文画面。パーツの組み合わせによる相性で組み込み不可の場合は、アラート表示でユーザーにその都度知らせてくれる

  • 編集部:
     なるほど。例えばWebサイト上でなにか新しいコンテンツを考えているということはありますか。
  • 河野氏:
     実は近々リニューアルを予定しています。試行錯誤を重ねるとスケジュールを何度も組み直す羽目になるんですよね、なかなか実現できていないのですが(笑)。当然、見栄えといいますか、現行サイトより見やすくするのはもちろん、ゲームPCなどは全くの別ページでブランディングしていくことも考えています。ただ、リニューアルを待ち切れず、先行導入してしまったシステムもあります。それは、パーツの組み合わせによる相性を自動的に判別するというものでして。例えば、AというCPUクーラーはZというケースには物理的に装着することができない。それが事前の検証で判明した場合は、メニューには掲載されていますがお客様がパーツを選ぶ段階でアラート表示をするようになっています。
  • とにかく多いお問い合わせのひとつに「自分はこの組み合わせでBTOを注文したいのだが、相性問題は平気ですか」というもの。これが本当に多いのです。ですので、逆にアラート表示が出ない場合は確実に組み立て可能ということになります。これをメモリ容量や対応OS、グラフィックスカードと電源容量、CPUクーラーとPCケースといった個々の相性を全てデータベース化して反映させています。もちろん物理的な相性問題以外にもパーツ同士の相性。このメモリとこのマザーはダメといったものも含まれます。これらを日々気付いた時点でアップデートしています。

    広告・マーケティング担当の杉山 茂氏

  • 杉山氏:
     それでもですね。こちらが気付かなかった相性問題が製作中に発生する場合もあります。その場合は、Webサイトでも記載していますが、お客様にご相談したうえで、すぐにデータベースもアップデートします。
     開発期間やコストもかかりましたが、おかげさまでお客様が選択できるPCパーツが2~3倍に増えました。かつてはモデルによっては選択できるCPUクーラーが2種類などというものもあったのですが、今はそんなことはありません。しっかり検証が済んでいるラインナップから選択できるようになっています。
     このシステムによりお客様の利便性も向上しましたが、我々スタッフにとっても非常に大きな出来事でした。毎日多数頂くお見積もりですが、その中から相性問題を発見して返信するという作業は、ハッキリ言って非常に煩雑ですし、かつ担当者のスキルも要求されます。それが解決するだけでも、弊社にとっては非常に有益ですね。
  • 編集部:
     ユーザーさんからの要望みたいなものも当然ありますよね。リストにはないが、このCPUクーラーを選択したいとか。
  • 河野氏:
     ありますね。要望を多数頂くようなアイテムについてはジャンルを問わず、リストに掲載するように努力しています。ただ、弊社が昔から続けているポリシーのひとつに納期厳守というものがあります。これは言い換えれば、掲載している製品の在庫は全てありますよということです。大手のショップさんほどではないですが、納期厳守のために実施している重要なところです。もちろん、在庫を抱えるというのは色々な意味で大変ですが、今後も人気のアイテムで、検証さえクリアすれば、リストに掲載して選択できるようにしていきたいですね。
  • 杉山氏:
     こちらもパーツ好きのお客様が、今どういった製品に興味があるのか、常にウォッチしています。その中から、メーカーさんにお願してサンプルを提供いただき、検証をする。問題なければリストのメニューに加えます。ここで、ひとつ問題があるとすれば、タイムラグが生じてしまう点ですね。秋葉原でいえば新製品は発売日に並びます。それを買ってPCを組むことができるわけですが、やはりBTOとなるとそうはいきません。検証が必須ですから。このあたりは今後の課題かと思っています。
totop