エルミタ的一点突破 Vol.47

「虎徹」のトップフロー版、サイズ「超天」は冷えるのか

2018.03.16 更新

文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕/池西 樹(テストセッション)

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周辺コンポーネントの冷却効果を確認

120mmファンを搭載する大型トップフローCPUクーラーということで、電源回路やメモリなど、周辺コンポーネントの冷却効果も気になるところ。そこで、最後にサーモグラフィを使い、周辺温度をチェックしていこう。なお比較対象にはCore i7-6700に付属のリテールクーラーを使い、CPU温度計測と同じ条件で測定を実施した。

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「超天」:アイドル時の電源回路 「リテールクーラー」:アイドル時の電源回路
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「超天」:高負荷時の電源回路 「リテールクーラー」:高負荷時の電源回路

まず電源回路の温度を確認するとアイドル時は、「超天」が平均温度28.3℃、「リテールクーラー」が30.5℃で、その差は2.5℃。これは「超天」ではアイドル時に800rpm前後まで回転数が落ちるのに対し、「リファレンスクーラー」は1,400rpm前後までしか落ちず、風量が確保されているため。しかし高負荷時は「超天」が平均34.2℃までしか上がらないのに対して、「リテールクーラー」では43.4℃に上昇。実際、電源回路のヒートシンクに触れたところ明らかに温度の違いを感じることができた。

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「超天」:アイドル時のメモリ周辺 「リテールクーラー」:アイドル時のメモリ周辺
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「超天」:高負荷時のメモリ周辺 「リテールクーラー」:高負荷時のメモリ周辺

続いてメモリの温度を確認すると、「超天」では上方からスロット全体に風が吹き付けられるため、すべてのメモリの温度が低く保たれているのに対して、「リテールクーラー」ではCPUソケット側のメモリ以外は温度が高め。平均値もアイドル時で4℃、高負荷時は8℃とかなり大きな差がついた。電源回路の冷却があまり充実していないマザーボードや、発熱の多いオーバークロックメモリを使う場合には、周辺コンポーネントの冷却もできる「超天」は、特に有望な選択肢になる。

総評:妥協があった知られざる開発エピソード

株式会社サイズの開発担当S氏は、何か言いたげだ。聞くところによると、そもそも企画を立ち上げた時点から「虎徹のトップフロー版」という位置付けであった事は間違いないらしい。サイドフロー型の定番の座を獲得した「虎徹」に続けと、その意気込みは計り知れない。

それを裏付けるエピソードとして、当初のネーミングはNo.1を意味する「頂点」だったという。さらにAMD系リテンションについても、できればフック式ではなく、レバー式にしたかったそうだ。それぞれ事情があるようだが、これ以上は立ち入らない。

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設計については、ヒートパイプが4本であることで、華奢にならないように配慮されているという。ちなみに開発段階で自作PC市場はAMD Ryzenブーム。VRMの発熱問題を考慮し「手をかざして風を感じるくらい、もう少し全高を低くしたかった」そうだ。

妥協しない職人気質のS氏ならではの開発エピソードだが、ネーミングはともかく、前評判は高く、秋葉原の店員からも期待の声が多く聞かれた。ヒートパイプの懸念事項である剛性はきちんと確保されており、VRMやメモリなどの周辺コンポーネントを冷却する能力もテストで実証できている。

AMD系リテンションの心残りは「超天 MarkII」あたりで実現して頂ければと思う次第。まさかネーミングが「頂点」に変わる事はないだろうが・・・。

協力:株式会社サイズ

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