エルミタ的速攻撮って出しレビュー　Vol.58　CoolerMaster Silent Pro Gold検証

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　■Silent Pro Gold 800W/600W



「Silent Pro Gold 800W」と「Silent Pro Gold 600W」は同一筐体サイズを採用するため、内部構成に関してはさほど大きな違い。ここでは主要な部分のみご紹介しよう

800Wに搭載されるコンデンサはPanasonic製420V耐圧/270uF/85℃品	600Wは420V耐圧270uFの85℃品ルビコン製

一次側フィルムコンデンサとトランスのレイアウトはほぼ同じ。ただトランスのシルクが1200W「1020 JXE」に対し、「1022 JXE」	5V/3.3Vのサブ基板「VRMコントローラー」は、おそらく共通らしい

二次側「Hybrid Transformer」部、800W（画像左）と600W（画像右）

矢印で示した基板は「Active PFC/PWMコンボコントローラー」。0.99の力率を達成し、入力ラインへのノイズ減少および高レベルなエコ仕様を実現する	800W/600Wも採用されるコンデンサは日本ケミコン社製をはじめ、多数の日本メーカー製品を使用

目安にはなる“Power Calculator”

電源ユニットにも力を入れるCooler Masterのサイトには、構成パーツをプルダウンでセレクトし、合計容量を算出してくれる“Power Caluculator”（http://www.CoolerMaster.outervision.com/）が用意されているのをご存じだろうか。この手のものは良く見かけるが、メーカーのサービスだけに、新しいCPUやGPUも比較的アップデートされており、扱いやすい。英語版ではあるものの、一度試してみてはいかがだろうか。

｜出来の良い電源「Silent Pro Gold」。800Wが特に“買い”

　今回はタイトルにもあるように、Cooler Masterがまさに“本腰を入れた”電源ユニット「Silent Pro Goldシリーズ」3機種を検証した。編集部にサンプル品到着後、数日間に渡り稼働させてみたが、特筆すべきはその静音性の高さだった。
　80PLUSプログラムという第三者機関が認めるコンシューマ向け最高峰、GOLD認証を取得しているだけあって、電源自体の良さはすでに証明されているわけだが、さすがに高変換効率を誇り、熱に変わるエネルギーロスが最小限に抑えられているモデルのその挙動は常に安定し、むやみにファンの回転数が上昇する事が無く、高負荷状態でも騒音値が気になる事はなかった。さすがに出来は良い。
　もしかすると“本腰”というキーワードにメーカーや代理店は気を悪くするかもしれない。というのも、Cooler Masterブランドの電源ユニットはこれまで多くのモデルがリリースされており、どれもが“本腰”であったはずだ。ここで敢えてこの言葉を使った理由は、筆者が数年前にリリースされた「Real Powerシリーズ」や「eXtreme Power シリーズ」を所有していたためであり、それらに比べるとかなり本気な電源ユニットである事が随所に感じる事ができたからだ（雲泥の差と言ってもよいだろう）。
　リリースされた年代に合ったジャッジをしなくてはならないが、いずれも数多あるライバルモデルから突出した特徴を見出す事は難しかったと言わざるを得ない。
　しかし「Silent Pro Goldシリーズ」は全くと言って良いほどにそのマイナスな印象を抱くことは無く、久しぶりにレビュー後に“返却したくない”製品だった。
　とは言うものの、同一クラスにはたくさんのライバルが存在する。ブランドイメージや独自機構、そして価格との兼ね合いもあり、そこからひとつ抜け出すのは容易な事ではないだろう。ただひとつ言えるのは、“第1集団”の中には確実に位置しているということ。

　最後にマルチグラフィック構成にする予定が無く、一方日常のテストである程度の出力が必要な筆者は、変換効率のバランスが最も良い800Wモデルを選択する。（実は個人的興味の範囲内で行ったテストでも800Wが一番安定している印象を持った）もちろん構成によって600W、1200Wを選択しても良いだろう。
　というワケで、3モデル共に甲乙付けがたいと言いつつ「Silent Pro Gold 800W」を「エルミタ的2010年電源ユニットEDITORS CHOICE」としたい。