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 Home > エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.1 「Scythe 夜叉」検証
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エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.1
サイズ「夜叉」(型番:SCYS-1000)検証

 今回は株式会社サイズの協力により、評価モデルを入手できたので、冷却テストに入る前に「夜叉」の細部をチェックする。特にこのモデルでは以下の点がポイントとなっているので、これらは特に注目して見ることにしたい。

サイズ「夜叉」のポイント
・トライデント多層フィン構造(Trident Multi Layer Fin Structure)
・KAZE JYUNI可変PWMファン
(小軸&大型ブレード設計)
・ワイドレンジRPM設計
(ボリュームコントローラー付属)
・段違い6本ヒートパイプ構造

夜叉 夜叉
一目でサイズ製品と判別ができるデザインパッケージ。フックを使った陳列棚にも対応する穴が用意されているが、多くはベタ置き 「夜叉」ヒートシンク外観。特徴的なヒートシンク形状は鋭利な部分が多く、取り扱いには注意が必要。軽くどこかにぶつけただけで簡単にフィンが折れ曲がってしまう
夜叉 夜叉
「夜叉」最大の特徴であるざく切り放熱フィン「トライデント多層フィン構造」(Trident Multi Layer Fin Structure)が最も良く分かる φ6mmのヒートパイプすべてがベース部に接触。なおベース部サイズは実測値で47×50mm(t 2mm)となり、φ6mmのヒートパイプでは6本を並べて限界の寸法になる
夜叉 夜叉
鏡面仕上げのベース部。CPUクーラーの冷却能力を最大限発揮させるためには最も重要な部分とも言えるだろう 受熱ベース背面にも押し出しタイプのヒートシンクを搭載。クーラー本体に搭載されるファンからのエアフローは得られないため、最大限の効果を発揮させたい場合は、ケース内部エアフローを考慮する必要がある



小軸&大型ブレード設計「KAZE JYUNI」にまつわるギミック

夜叉 夜叉
オリジナル小軸&大型ブレード設計の120mmリブ無しの「KAZE JYUNI」PWM可変ファン。羽枚数は9枚で、枚数が多い分“アール”もきつめ。羽形状はどちらかと言えば丸羽タイプで、フレームの剛性も高い 拡張ブラケットに装着するタイプのファンコントローラー。これを使用する事で、PWM可変の帯域が設定できる。最大帯域は740-1900rpm、最小帯域は470-1340rpmで、使用するアプリケーションの負荷状況により都度設定可能
夜叉 夜叉
4pinPWM対応コネクタ部。ケーブルはスパイラルチューブにより巻き付けらている。ケーブルの取り回しには良いかもしれないが、ケーブル自体の反発力が強く、タイラップでの結束は必須だろう ファン装着には付属のワイヤークリップを使用。大型クーラーの場合、ヒートシンクだけをM/Bに搭載させてからファンを装着させる。この手順を怠ると、ファンが邪魔をしてリテンションが装着できなくなる



ファンを装着した「夜叉」をさらにチェックする

夜叉 夜叉
メインとサブフィンをトライアングル状に多層化させたヒートシンク部。フィンは5種類の切り込みタイプがあり、無機質に並べられた様は非常に美しい この画像を見る限りでは、オーソドックスなおとなしいサイドフロー型CPUクーラーにも見える
夜叉 夜叉
上から見ると“バットマン”形状のヒートシンク。こんなネーミング案もあったのでは?ちなみにφ6mmヒートパイプは画像の通り、段違いに配列する事でベース部から吸い上げた熱を放熱フィンの隅々まで拡散させる工夫がなされている。限られたスペースの中で、最大限に特性を活かそうとする方法が採られている良い例と言える
夜叉 夜叉
側面から見ると、ヒートパイプの密集具合と無数の放熱フィンの構造が良く分かる。フィンを数えてみると54枚だった。数えるのが途中でイヤになる程の枚数が冷却能力の要になる事は言うまでもない サイズオリジナルの改良版「VTMS」(Versatile Tool-Free Multiplatform System)。各ソケット用に用意されたリテンションは、ワンタッチでヒートシンクに装着する事ができ、バックプレートは不要



冷却能力(温度)、騒音値、回転数テスト

テスト
テスト



ヒートシンク各部の温度計測

 ここでは非接触温度計を使用して、CPUクーラー各部位の温度検証を行っている。今回は6カ所のポイントを選択し、それぞれの“熱具合”を客観的数値で見て行きたい。
  この結果からは、どの部分が一番熱を持ちやすい(熱の通り道)等が想像できるだろう。なお検証は「OCCT 3.1.0」を用い100%負荷20分経過時に計測を行っている。(室内温度18℃)

夜叉 夜叉
@ヒートシンクトップ部、Aヒートシンクトップ中央部 B受熱ベースに近い付け根部、Cヒートシンク最下部

  @ A B C
アイドル時(℃) 22.3※1
17.1
16.8 22.8
16.5※2
21.4
100%負荷最小帯域時(℃) 22.4※1
16.2
15.1 22.8
17.0※2
24.8
100%負荷最大帯域時(℃) 21.6※1
15.6
14.9 19.9
15.3※2
17.7
※1:VGAカード隣接側/※2:FAN側



法則性が読みづらいヒートパイプ配列と温度の関係

 「段違い6本ヒートパイプ」と称された配列方法を採る、「夜叉」のヒートパイプ。ここではその温度について見て行きたい。
 ヒートパイプ自体の熱輸送方式についての解説は割愛するが、その配列カ所によって温度はどのくらい違うのだろうか。少々興味本位で計測を行ってみたのが以下の結果だ。

ヒートパイプ 【段違い6本ヒートパイプ】

・各々に振られた数字の内、@-F、A-G、B-H、C-I、D-J、E-Kは1本のヒートパイプの始点と終点となる。
 なお矢印はエアフロー方向を指し、画像上部がケースへの排気方向で、下部にはすぐメモリバンクがレイアウトされている

「夜叉」ヒートパイプ配列別温度計測結果
上段:最小帯域(アイドル時) 単位:℃
下段:最大帯域(アイドル時) 単位:℃
@ A B C D E
19.1
12.5
18.2
12.4
17.2
13.3
17.9
15.8
16.8
12.8
15.9
12.7
F G H I J K
13.4
11.9
13.7
11.9
14.0
12.3
16.7
14.4
15.6
13.8
13.5
10.9

 熱移動(輸送)が仕事となるヒートパイプは、その特性から一定の状態をモニタするには限界がある。もちろんサーモグラフィ等を用意する予算も無く、ここでは非接触温度計で計測したありのままを掲載した。なおテストは3回行い、その平均値としている。
 普通に考えるとCPUの中心と距離が近いC〜E、F〜Hの温度が高くなるだろうと想像できるが、実際にはファン回転数の最小帯域アイドル時では@の19.1℃が最も高く、最大帯域時ではCの15.8℃が最も高い数値となった。逆に最も温度が低かったのは、最小帯域でFの13.4℃、最大帯域でKの10.9℃だ。
 この計測では残念ながら法則性を読みとることはできなかったが、唯一敢えていうならば、回転数に比例してヒートパイプの温度も上下するという事だ。至極当たり前で、恐らく次回からはこのテストは行わない事になるだろう。



総評・期待通りによく冷える静音CPUクーラー

 結果を先に言うと、サイズ「夜叉」は冷却能力が高かった。ひとつの基準としてリテール純正クーラーと比較しているが、放熱面積や冷却方法に対する構造の違い(トップフロー/サイドフロー)から、そもそもナンセンスという意見もあるかもしれない。ただし、目的は同じという事と、汎用モデルの「リテールクーラーよりも冷えなければいけない」という至上命題からすれば、極めて順当であり、両者期待通りの結果に落ち着いている。

 検証結果を見ると、アイドル時で24℃/23℃、高負荷時でも45℃(21℃上昇)/42℃(19℃上昇)となり、非常に良いスコアが出ている。
 また騒音値について言えば、生活騒音レベルの室内での計測でもアイドル時28.6dBAはほとんど耳に付く事はない。さらに最大帯域設定時の41.1dBAも、恐らくはケース内に収納し、さらに机の下などにPCケースを置いた場合の耳までの距離では、静かに感じると思われる。
 ただし、120mm口径からの大風量により、フィンを通り抜ける低音域は発生するため、ユーザーによってはその音がケース内で籠もり音となり、“耳が聴きに行けば”気になる事はあるだろう。(その場合は最小帯域設定にすれば簡単に回避できてしまう)

 ヒートシンク自体はサイズオリジナルクーラーが得意とする極薄アルミフィンを幾層にも重ねる事で、放熱面積を広大にする方法が採用されている事もあり、実際にテストを行わずとも「冷えるんだろうな」と思わせる雰囲気を持っている。また今回採用された「トライデント多層フィン構造」については、エアフローの流れを改善させる工夫が見て取れる。
 たとえば、ファンの中心部(ドラム部)のエアフローが弱い“台風の目”地帯に該当する部分はV字に大きく切り込みが入り、大風量が発生するインペラに当たる部分は切り込みを減らし、発生した風を大きく採り入れるようになっている。
 この方法を採ることで実際に冷却能力が上がるのかは、切り込みの無い同サイズのヒートシンクと比較しなければ分からないが、少なくとも風の流れはスムーズであり、スコアも良好なので良いCPUクーラーと言って差し支えはないはずだ。

 執筆時点での実勢価格はおよそ4,000〜4,500円程度となり、コストパフォーマンスにも優れている。今回はCore i5-750を用いたが、AMDを含む高クロック・高TDPプロセッサに搭載しても、十分その能力を発揮する事だろう。

 最後に編集部による20ポイント満点の評価を付けてみた。結果は19.5ポイントとしている。-0.5ポイントは「取付け易さ」で、手慣れたユーザーであれば問題は無いものの、リテールクーラーから初めて換装にチャレンジする人にとっては、若干の戸惑いがあるかもしれない。(リテンション金具逆付けや、ファン搭載手順など)しかしながら、重箱の隅を突く程度の事で、冷却能力そのものに影響する事ではない。日本語マニュアル付きなので、ライトユーザーの方はゆっくり組み込む事をお勧めしたい。

サイズ「夜叉」総合評価
評価
総合評価


【エルミタ的検証用CPUクーラー募集】
 エルミタ的「一点突破」では検証希望CPUクーラーを募集しています。国内外を問わず、ご興味のあるメーカー様・代理店様は編集部までご一報ください。

機材協力:株式会社サイズ
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タイトル
夜叉
・型番:SCYS-1000
・サイズ:130×108×H159mm(クーラー全体)
120×120×厚さ25mm(付属ファン)
・ファン回転数
740±25%〜1900rpm±10%(最大帯域)
470±30%〜1340rpm±10%(最小帯域)
・ノイズ
9.8〜37.0dBA(最大帯域)
7.05〜27.3dBA(最小帯域)
・風量
37.15〜110.31CFM(最大帯域)
23.0〜76.53CFM(最小帯域)
・対応CPU
Intel LGA775/1366/1156
AMD Socket AM3/AM2+/AM2/754/939/940
・ヒートパイプ径
6mm径×6本
・本体重量:848g
・付属品
グリス、日本語マニュアル
・パッケージサイズ
235×150×128mm/1160g
・実勢価格税込4,000円〜4,500円前後
(2010年2月現在)
メーカー製品情報
 
PhotoFast
H55
Atom
 
 
 
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