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 Home > エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.4 「Frio 冷却魂」(型番:CLP0564)検証
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冷却能力(温度)、騒音値、回転数テスト

 ここからは「Frio 冷却魂」の性能テストをして行こう。先ほども触れた通り、220Wサポートが謳われたCPUクーラーに、Intel Core i5-750はオーバースペックに感じてしまうが、プロセッサに“適度なCPUクーラー”ではなく、敢えてハイエンドクラスのCPUクーラーを選択するユーザーも多いだろう。繰り返しとなるが“冷えすぎて困る”事は無い。

Thermaltake「Frio 冷却魂」のポイント
・220WサポートのハイエンドCPUクーラー
・デュアルファン化で高冷却モデルとしての運用が可能
・φ8mmヒートパイプ5本構成
・48枚の0.4mm厚アルミニウム製放熱フィン

  というワケで、本稿テストでのポイントとしては「TDP95Wのプロセッサに220WサポートのCPUクーラーを搭載させた場合はどんな性格を見せるのか?」となる。さらに「Frio 冷却魂」では、高冷却を求めるユーザー用に増設用120mm VRファンが同梱されているため、シングルファン搭載時とデュアルファン搭載時の2パターンでテストを行っている。
 計測方法は今回も「OCCT 3.1.0」で100%負荷状態を作り、「SpeedFan 4.40」で回転数および温度状況をチェックしている。
Frio
計測当日は「計測日和」となる晴天で、室温は18度。生活騒音の影響を極力無くすため、今回も深夜3:00過ぎからのテストとなっている。画像は120mm VRファンをデュアル搭載させたところ

テスト
テスト
※比較はIntel Core i5-750同梱の純正CPUクーラー計測値
 
test
※比較用純正CPUクーラー搭載ファンはPWM可変(参考値)
※デュアルファン搭載時の回転数(rpm)表記は、それぞれ(デフォルトファン/増設ファン)の数値


ヒートシンク各部の温度計測

 例によってヒートシンク各部別の温度計測テストを行った。通常放熱フィン最上部の温度計測も行っているが、今回はトップカバーが装着されているので(外せばよいだけだが、、、)敢えてここは計測せず、両側面(E/F)に注目して行こうと思う(その理由は後述)。

 それにしても連載開始以来、Intel純正CPUクーラーを除く全てのモデルがサイドフロー型になっており、トップフロー型の肩身は狭くなるばかりだが、ライバルモデルとの性能比較をする場合には好都合と言える。
 なお「Frio 冷却魂」は前述のトップカバーおよびレッドアクセントバー、ファン用カバーが装着されているが、一部実用部品ながらも必要不可欠ではなく、ファン搭載方法をワイヤーフック式にしてしまえば数多あるモデルとほぼ同様の外観になるはずだ。実のところ「Frio 冷却魂」が丸裸になった姿も撮影しているのだが、あまり意味が無い上に、何も無いとは言え“マスクは剥がさない”風な紳士的観点から今回は未掲載としたので悪しからず。(室内温度18℃)
Frio
今回の計測は8カ所に及んだ。本来ならばトップ部の計測を行うところだが、今回は両側面に着目。事前に“あたり”を付けていただけあって、これまでにない結果を得ることができている
最小回転設定時 @ A B C D E F G
アイドル時(℃) 18.1 18.1 18.9 19.8 18.2 20.0 17.8 20.0
100%負荷時(℃) 20.9 20.1 23.9 25.8 24.0 25.1 23.1 25.4
最大回転設定時 @ A B C D E F G
アイドル時(℃) 17.9 18.1 18.3 19.4 17.9 19.4 18.2 19.4
100%負荷時(℃) 20.9 20.4 23.6 24.1 21.4 22.6 20.6 23.5


ヒートシンク両側面から大量に排出されるエアフロー

 これまでテストしたCPUクーラーの中で、「Frio 冷却魂」だけに見られた特徴がある。デュアルファン搭載時に顕著となるその特徴とは、ヒートシンク両側面から大量にエアフローが排出されているのだ。
 フィン枚数は48枚で構成され、極端にフィンピッチ間隔が狭いというわけでもなく、目視レベルでは5本のヒートパイプがファンに対して垂直方向に流れるエアフローを大きく遮っているという事も無い。放熱フィンに若干の角度が付けられていることに加え、恐らくエアフローの風圧が強力すぎる事で逃げ場を失い、側面からも排出されているものと思われる。これにより思わぬ恩恵がもたらされている事を解説しておかねばならない。

Frio
Thermaltake製品情報掲載の「エアフローコンセプト」
  CPUクーラーでは隣接するグラフィックスカードからの発熱の影響を受け、マザーボードの拡張スロット側の放熱フィンが常に高めの温度で稼働している事が分かっている。本来CPUの熱を処理しなくてはならない立場にありながら、グラフィックスカードがそれを邪魔しているという関係は、特にサイドフロー型に顕著で、隠された課題のひとつとなっているが、「Frio 冷却魂」では前述通りの強力な側面からのエアフローにより、ヒートシンク各部の温度計測で言うEが飛び抜けて高い温度になっていない。このことにより、グラフィックスカード背面にも効果的にファンからの風が常に当たり続ける事で、プラスの効果が出ていると言えるだろう。
  CPUクーラーの謳い文句に“ソケット周りのコンポーネント冷却にも効果アリ”というモデルがあるが、筆者はこの点を非常に懐疑的に考えている。ただし「Frio 冷却魂」のようなエアフローレイアウトの場合、グラフィックスカードに関してはマイナス効果は考えにくく、現実的なアピールポイントと言えるのではないだろうか。得てして効果が少ないモデルに限って特徴を羅列したがる傾向にあるため、CPUクーラー選びをする場合はそれらを鵜呑みにせず、一度“脳内エアフローレイアウト”により自己判断する事をお勧めしたい。
Frio
水平方向に隣接するグラフィックスカードの背面に、ファンからの風が当たり続ける「Frio 冷却魂」。高温になりがちな隣接部分のヒートシンク温度も良好なスコアが計測されている。なお、この点についてセールスキットでも全く触れられておらず、Thermaltakeではもうちょっとアピールしても良いポイントではないだろうか。「Frio 冷却魂」の隠された特徴と言える
 


総評 -冷却ポテンシャルが高く、隠れた名品になる可能性アリ-

Thermaltake 「Frio 冷却魂」総合評価
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Point

 Thermaltakeのフラッグシップモデル「Frio 冷却魂」のエルミタ的総合評価は18.5ポイントとした。その理由は以下項目毎の総評で解説している。

【静音性】 3.5point
  使い方によってまったく違った性格に変わる「Frio 冷却魂」は、静音性を判断する事は難しい。そもそもこのモデルの騒音値は、1200-2500rpm/20-43dBAとされており、ミニマム値で稼働させた場合でも前回の「Contac 29」に比べ、+400rpm/+5dBA高くなっている。
 基準とするモデルはIntel純正クーラーである事はこれまで同様だが、「Contac 29」よりも高いpointは数値からも望めないまでも、計測された43.0-43.8dBAにしては音の質は耳障りではなく、最小回転稼働で見る限りで3.5pointとさせて頂いた。
 このように、「静音性」では単なる数字上だけでなく、音質やフィンとのマッチング等も考慮している事をお断りしておこう。なお最大回転数で稼働させた場合のpointはと言うと、1.0-1.5になってしまう。
 これについて、搭載されるファン“O.C.VRファン”120mm Optimize Cooling VRファン)は、敢えて風量増加にもフォーカスされた専用モデルであり、これを採用する事で非常に幅の広い守備範囲がフォローできている。シーンによって評価が大きく変わるという事がそれを裏付ける事にもなるだろう。数字だけで単純に判断はできない。
 またオーバークロックの限界にチャレンジするユーザーにとって、“静かに”というキーワード自体ナンセンス、高騒音値でもCPUクーラーとしての役割をきちっと果たしてもらいたいと思うのが普通だろう。程度問題ではあるものの代償は払ってもらわなければ、CPUクーラーの立場は無いだろう。

【冷却性能】 5point
 これは文句無く満点の5pointだろう。「O.C.VRファン」により、クロックに合わせて回転数が変えられる上、デュアルファンにする事でさらに冷却能力が手軽に向上できる。エアフローの強弱により、CPUクーラーの性格を変えることができるオールラウンダー的なモデルと言える。
 またヒートシンクの冷却能力について言えば、工作精度も高く、このタイプのCPUクーラーの中では上位クラスの製品と考えて差し支えは無い。潜在能力もあり、オーバークロッカーやゲーマーはもちろんの事、先頃発表されたIntel Core i7-980X Extreme Editionでも十分にそのポテンシャルを発揮してくれる事だろう。

【取り付け易さ】 5point
 特に面倒ではないため、この点数を付けた。Intel系のリテンションが「LGA1366用」、「LGA1156用」、「LGA775用」と3種類付属し、どれも見分けが付きにくいため、個別にビニール袋に収められ、さらにアルファベットのシールが貼られている。これをマニュアルと照らし合わせることで必要なリテンションは判別可能。一見複雑な印象を持ってしまうが、これはCPUクーラー側に非は無いため、減点対象にはならない。
 エルミタでは何度も指摘しているが、Intelがソケット毎にピッチを数ミリ程度ずらしてしまう事で、不必要な部品までも付属させなければならない。地球環境=Ecoというキーワードを無視したこの悪しき慣例は早々に改めてもらいたいと思う。
 なおマザーボードへの取付はM3 4mmのナットをマイナスドライバーで締め付けて完了。面倒は無いが、CPUクーラーの自重によりやや手こずるかもしれないが、煩雑というレベルでは決してない。基本に忠実という事で、対角線にて徐々にトルクを掛けて行けば、問題は無い。

【コストパフォーマンス】 5.0point
  評価しにくいコストパフォーマンスは5.0pointの満点とした。「Frio 冷却魂」は、執筆現在の実勢価格8,000円前後で、多くの自作ユーザーからすれば二の足を踏んでしまう高価な部類に属する。ただし、ここで声を大にしたい点は、このモデルの可能性だ。
 本稿ではCore i5-750を基準としているが、このクラスではさすがに高負荷時でも十分な性能を発揮し、テスト中1度だけ40℃を示したが、それ以外では全て30℃台という好成績を残した。
 ヒートシンクの潜在能力も高く、またCPUの載せ替えでパワーアップさせたい場合でもファンが同梱されているためこれ以上の出費も無く、ハイパフォーマンスCPUクーラーとしても運用できてしまう。若干好ましくない考え方とは言え、2個分のファン代金を考慮した場合、目くじらを立てるほど高い製品ではない事がお解り頂けるだろう。低消費電力プロセッサでチョイスした場合は、先行投資と考えれば良い。

 というわけで、2回に渡ってThermaltakeのCPUクーラーをテストした。同社は「BlueOrb」シリーズや一連のヒット作「Big Typhoon」シリーズ等、これまでにも魅力的なラインナップを市場に投入している実績はご承知の通り。極たまにではあるものの「SpinQ VT」のような独創的なモデルも用意する面白いメーカーという側面もあるが、社名に“Thermal”を冠しているのは伊達ではなく、一見同じように見えてしまうサイドフロー型CPUクーラーにも独特の個性を持たせることで差別化が図られている。Thermaltake社プロダクトマネージャーの努力をここで再確認できた事は大きな収穫となった。

 今回は日本サーマルテイク株式会社よりお声が掛かり2モデルを検証したが、結果如何によっては“こてんぱんに”されてしまう事を恐れずにエントリーして頂いた事に感謝すると共に、自社製品に対する自身の程を知る事となった。猛者とは大げさだが、新旧問わず、次なる道場破り的エントリーを待つことにしたい。


【エルミタ的検証用CPUクーラー募集】
エルミタ的「一点突破」では検証希望CPUクーラーを募集しています。国内外・新製品/既存製品を問わず、ご興味のあるメーカー様・代理店様は編集部までご一報ください。また「このモデルを検証して欲しい」などのリクエストもお待ちしています。
 
機材協力:日本サーマルテイク株式会社
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Frio
Frio
・寸法 L139×W98×H165mm
・ヒートシンク材質 アルミニウム+銅ベース/アルミニウムフィン
・ヒートパイプ φ8mm×5
・ファン寸法 120×120×25mm
・定格電圧 12V
・定格電流 0.04A(Max 0.19A)
・標準電圧 6V
・入力0.5W
・ファン回転数 1200-2500rpm
・最大風量 101.6CFM
・最大風圧 4.2(mmH2O)
・ノイズ 20-43dBA
・平均寿命 50,000時間(MTBF)
・接続コネクタ 3pin
・重量 1042g
・実勢価格税込8,000円前後
(2010年3月現在)
メーカー製品情報
 
夜叉検証
Venomous X
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PhotoFast
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