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|W.A.M.S(Wide Area Multi Fan System)
巨大CPUクーラー「スサノヲ」の尋常ではない押し出しの強さの一因に搭載ファンが挙げられる。
100×100×25mmのサイズオリジナル「KAZE-JYU」4基を並べた中心部にファンマウンター金具にテーパーネジで固定され、さらにワイヤークリップでヒートシンクに装着されている。
小軸仕様で無駄なくエアフローを生み出す「KAZE-JYU」は、PCIスロット固定タイプのボリューム式1chファンコントローラーにより4基全ての回転数を制御。500±30%〜2000rpm±10%/9.42〜37.69dBA/50.05〜200.21CFMで運用が可能で、電源供給はファンコントローラーから伸びる4pinペリフェラル×1で行われる。さらに3pinコネクタケーブルも装備され、マザーボードのピンヘッダに接続する事で”ファン1”のパルス(回転数)もモニタできる。
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ファンマウンター金具によりファン4基をブリッジ。各々は一般的なテーパーネジで締め付けられている |
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ファン型番は「SY1025SL12LH」DC12V/0.21A |
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ヒートシンクとの固定には、ワイヤークリップが使用されている |
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PCIブラケット固定型ボリューム式ファンコントローラー。4基のファンを1ch化させ、一括制御する。ユニット背面には4基分の3pinコネクタが用意される他、右端のコネクタはパルスセンサー用のケーブルで、マザーボードに接続する事で回転数もモニタする事ができる |
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100mmファン4基レイアウトをサイズでは「W.A.M.S」(Wide Area Multi Fan System)と名付けており、広大なエアフロー面積からCPUの冷却だけでなくソケット周辺のMOSFETからノースブリッジ、グラフィックスカード、メモリに至るまで、マザーボード上コンポーネンツ全ての冷却がターゲットと解説されている。
4基合計200×200mmから、トップフローでマザーボードに風を吹き付ける事で、マザーボード3分の2程度の面積が覆われる事で「スサノヲ」はCPUクーラーに留まらず、システムクーラーの役割までをも果たしてしまうというワケだ。
|「F.M.S.B.3」(Flip Mount Super Back-plate 3)の採用
ここでマザーボードへのリテンションと固定方法を確認する。
「スサノヲ」のリテンションは「F.M.S.B.3」(Flip Mount Super Back-plate 3)が採用されている。これは以前検証した「峰2」(型番:SCMN-2000)と同じもので、改良を重ねる毎にマザーボードへの強固な固定を実現させている。
搭載手順は「峰2」レビューに詳しいので、そちらの記事を参照頂きたい。
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ユニバーサル仕様のバックプレート。マザーボード面には絶縁ラバーシートが貼り付けられていた |
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右がIntel系、左がAMD系のCPUに対応する「取り付け金具」 |
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「取り付け金具用ネジ」は、CPUクーラーベース部に「取り付け金具」を固定するために使用。ミリ径の皿ネジタイプ |
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防振&絶縁ワッシャーにも見えるが、実は「バックプレート落下防止用ゴム」。ネジで締め付ける前段階でバックプレートとネジを仮固定する役割を果たす |
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「バックプレート取り付けネジ」はバックプレートと同色のブラック |
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「バックプレート固定用ネジ受け」と「ネジ受け固定用金具」は各4個。CPUクーラーベース部に装着した「取り付け金具」のネジ穴(ソケット毎に選択)に固定して使用。最終的に「バックプレート取り付けネジ」でマザーボードとバックプレートを挟む形で締め付けて行く受け部になる |
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|超大型「スサノヲ」ならではの注意点いろいろ
100mmファン4基搭載+ダブル・ブロック構造放熱フィン、φ6mm×12本のヒートパイプで構成される超大型CPUクーラー「スサノヲ」。桁外れなスペックから冷却能力が大いに期待されるわけだが、大型なりにある程度の代償は覚悟しなければならないようだ。
ここではあらかじめサイズの製品情報サイトに掲載されている「事前注意点」を把握しておくことにしよう。
■条件付きのグラフィックスカード補助コネクタ方向
ハイエンド志向の「スサノヲ」をチョイスする自作ユーザーの多くは2Slot占有の補助電源コネクタ付きグラフィックスカードを使うはずだ。その場合気をつけなければならないのが“補助電源コネクタ方向”で、サイズではドライブベイ側にコネクタがあるグラフィックスカードが推奨されている。もちろんこれは「スサノヲ」のファンとケーブルが物理的干渉を起こす可能性があるためだ。
装着テストとして、敢えて補助電源コネクタがサイドパネル側となる「SAPPHIRE HD6970 2G GDDR5」(型番:21179-00-40R/幅111mm)にPCI-Express電源ケーブルを挿してみたところ、事前にケーブルを曲げておくことで比較的無理なく収める事ができた。
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「SAPPHIRE HD6970 2G GDDR5」(型番:21179-00-40R)と「スサノヲ」100mmファンとの位置関係。決して余裕があるとは言い難いものの、ケーブル方向に注意すれば無理なく使用できる |
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またこれだけに留まらず、リファレンスボード(PCB)搭載のVGAクーラーの高さを超えてしまうヒートパイプが採用されるグラフィックスカードは放熱フィンとの物理的干渉の可能性が非常に高いとされ、“条件付き”で注意喚起がなされている。
なお「SAPPHIRE HD6970 2G GDDR5」と「スサノヲ」間の空きスペースは実測値で15mmだった。
■十分なメモリスロットの有効スペース
装着テストに使用したCORSAIR「CMZ8GX3M2A1600C9」の公称値高は52mmだが、「スサノヲ」のヒートシンク下部とメモリ間にはまだ約40mmのスペースが残されている。トップフロー型CPUクーラーの利点として、全てでは無いにせよメモリを選ばない点が挙げられる。さらに「スサノヲ」の場合は、システムファンとしての役割をも果たすため、グラフィックスカード高以上の“かさ上げ”が必要となる事から、おのずとメモリ高は問題としない。
■ケースを選ぶCPUクーラー「スサノヲ」
大型CPUクーラーの代償として最も致命的とも言えるのが、搭載できるPCケースを選ぶという点。100mmファン4基によるCPUクーラーとしては常識外れとも言える面積だけでなく、グラフィックスカードサイズを超す全高により、PCケースのサイドパネルと物理的干渉を起こす可能性を留意しておかなければならない。
サイズでは「スサノヲ」の使用について、注意喚起とも言える「前提条件」を事前に開示している。
(1)幅寸法が200mm以上(サイドパネルにファンやパッシブダクトなどが搭載していない状態)のPCケース
(2)全段に六角スペーサーが取りつけられるPCケース(スペーサー不要のPCケースの場合、
本製品付属のプラスチックスペーサーが使用できないため、取りつけられません。)
※上段と下段のマザーボードの固定は、ネジで固定する必要がございます。
※六角スペーサーは7mmの高さのスペーサーを採用しているPCケースが条件となります。 |
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(1)については、全高160mmの「スサノヲ」は、PCケース幅200mmを最低条件としており、サイドパネル部にパッシブダクトが装着されているモデルは搭載ができない。また実際に200mmのPCケース幅があってもサイドパネルに大型吸気ファンが装着されている場合は注意が必要になるだろう。モデルによって“どうにか収まった”という場合でも、「スサノヲ」に搭載されるファンの吸気スペースがある程度なければ十分なエアフローを生み出すことができず、気流が乱れる事で思わぬ異音が発生する事も考えられる。
(2)については、マザーボードの固定ネジ穴2段目(下図参照)の水平列が「スサノヲ」本体に覆い被されてしまうため、ネジの締め付けができない。そのために「プラスチックスペーサー」(ミリ用/インチ用)が付属されており、これが使用できるPCケースであればマザーボードの正常な固定が可能となるわけだ。
ちなみに裏技としてCPUクーラーメンテナンスホールを利用し、マザーボードを固定した後に「スサノヲ」を後付けするという方法が残されている。ただしその場合、ソケット位置とCPUクーラーメンテナンスホールの大きさにも注意する必要があり、さらにどう頑張っても1人では作業できないため、2人掛かりで取り付けを行う必要がある。
なおサイズでは、「SUSANOO+サイズ取り扱いPCケース適合表」なる取り付け可否が掲載されているので、参考になるだろう。
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「スサノヲ」がマザーボード2段目のネジ穴(赤丸部)に覆い被さってしまうため、通常のドライバーではネジの締め付けができない |
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マザーボード固定用「プラスチックスペーサー」は、ミリ用/インチ用各4個が同梱されている |
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CPUクーラーメンテナンスホールが使えれば、「スサノヲ」を後付けする事もできる可能性がある |
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マザーボードへの「スサノヲ」固定方向は、ヒートパイプ下向きにする事になる |
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