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 Home > エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.6 サイズ「忍者参」検証
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室内温が高くなったので「基準モデル」再計測を行う

 そろそろ「忍者参」のテストを行いたい所だが、その前にひとつお断りしておかなければならない。
 不定期連載ながら2010年2月からスタートし、早くも6回を数える「エルミタ的一点突破 CPUクーラー編」。途中イレギュラーはあったものの(Intel「Core i7-980X Extreme Edition」同梱の純正クーラー編)、いずれのテストにおいてもIntel Core i5-750同梱のリテールクーラーを「基準モデル」とし、冷却性能や騒音値の比較対象にしてきた。
 ただしVol.1の時点(2月)から季節が変わり、すっかり初夏の陽気となってからというもの、室内温度も上昇傾向。当然の事ながらCPUクーラーへの影響が出始めている。
 そこで今回のVol.6を期に、再度「基準モデル」の温度計測を実施した。なお2月時点での室内温度18℃対し、今回のテスト(6月8日)では室内温度22℃で、4℃の上昇。体感では湿度の高さも加わり、数字以上に暑く感じる。

テスト

 実際に計測した結果を見ると、アイドル時31℃→35℃(+4℃)高負荷時65℃→72℃(+7℃)と同一構成ながら順当に温度上昇傾向が数字に反映されている事が分かる。さらに想定する必要があるのは、グラフィックスカードの温度上昇で、隣接するCPUクーラーはその影響を多大に受けている事はこれまでのテストでも実証済みだ。
 VGAクーラーについて本稿で触れるつもりはない。ただしCPUにより良い環境作りをしたい場合は、VGAクーラーにも気配りが必要と言えるだろう。VGAクーラーはグラフィックスカードのGPUを冷やすだけでなく、CPU温度にも“悪影響”を及ぼす事を頭に入れておきたい。

エルミタ的レギュレーション
CPUクーラー計測環境および計測方法

1.マザーボードはケースに組み込まない状態で計測する
(ケースファンなどケース内エアフローの影響を受けない状態で、できる限りCPUクーラー本来の性能を見る)
2.マザーボードなどの各種設定はデフォルトのまま行う
3.CPU全コアに100%負荷をかけ、5回テストを行う
(計5回テスト中、平均値のスコアを掲載)
4.騒音値は、ファンから10cmの距離で計測
(騒音計はファンと垂直方向に設置)
5.高負荷状態は「OCCT 3.1.0」を使用
(アイドル時および高負荷時(100%/20分)の数値を計測)
6.コア温度およびファン回転数は「SpeedFan 4.40」を使用
(アイドル時および高負荷時(100%/20分)の数値を計測)

検証使用機材
CPU Intel「Core i5-750」 Lynnfield
(2.66GHz/TB時最大3.20GHz/TDP95W)
マザーボード GIGABYTE「P55A-UD3」
(Intel P55チップセット/ATX)
メモリ OCZ「OCZ3P1333LV4GK」
(1333MHz/PC3-10666/CL 7-7-7-20/1.65v)
SSD OCZ Vertex Series 120GB(SATA2/2.5インチ)
VGA XFX「HD-567X-YNFC」
(Radoen HD 5670 512MB DDR5)
OS Windows 7 Ultimate 64bit
放射温度計 AD-5611A(非接触型温度計)
測定範囲(D/S比)11:1
騒音計 TM-102(国際規格IEC651 TYPE2適合)
検証ツール
高負荷状態 OCCT 3.1.0
温度/回転数 SpeedFan 4.40



「忍者参」冷却能力(温度)、騒音値、回転数テスト

忍者参

 いよいよ「忍者参」の冷却能力各種テストを行ってみたい。このモデル最大の特徴となるのは「多重エアフロー透過構造」(M.A.P.S)だ。ファンからのエアフロー効果を最大限に活かすために設計されたブロック構造によるフィン設計。それを4ブロック構造とし、φ6mmヒートパイプをブロック毎に4本貫通させる事で、分割されたヒートシンクが“個別に仕事をする”。
 サイズのリリースによると、同社オリジナル「無限弐」クーラーで培われたという「多重エアフロー透過構造」。「無限弐」では、5ブロック構造をエアフローと正対する縦列にレイアウトされていたが、「忍者参」では特徴的な三角形の集合体としている。さて、これがどう冷却性能に表れるのだろうか。早速テスト結果をご覧いただこう。

テスト
テスト

 「基準モデル」となるIntelリテールクーラーに比べ、アイドル時で9℃、高負荷時で24〜26℃もの冷却性能差となった。これを見る限り、よく冷えると言って問題はないだろう。
 また騒音値については、以前同じファンを使用したサイズ「夜叉」(Vol.1)Thermalright「Venomous X」(Vol.2)と若干の違いが出ている。ヒートシンクのデザインが変われば音質を含めて違いがでるのは当たり前なので、これは問題としない。
 総評は最後に譲るとして、「忍者参」はリテールクーラーから換装しても決して損はしない(かなり損はしない)と言うことが十分お分かり頂けるのではないだろうか。


「忍者参」ヒートシンク各部の温度計測

 次は例によってヒートシンク各部位の温度計測を行ってみる。これまでのCPUクーラーと違い、トライアングルヒートシンクを4ブロック構成にした、非常に特徴的な放熱フィンレイアウトは、どのように作用しているのか個人的にもたいへん興味があった。

 なお今回の計測ポイントは全部で22箇所に及んだ。その特性を読み解くには、これでも足りないという意見があるかもしれないが、何分ご了承頂きたい。ではその結果を見て頂こう。



 非常に見にくいかもしれないが、これまでテストを行ったCPUクーラーとほぼ同様に、グラフィックスカード側となる7〜9、13〜15はコア付近を除き、その他箇所に比べ温度が高くなっている。
 なおコア付近の22を除き、一番温度が高くなるポイントは15(側面VGA側下部)の31.9℃(最小帯域設定/高負荷時)で、逆に低くなるのは10(トップ左上部)の24.9℃(最小帯域設定/アイドル時および最大帯域設定/高負荷時)だった。


意外なエアフローの流れを作り出す「忍者参」

 最後にエアフロー特性について触れておきたい。繰り返しとなるが、トライアングルヒートシンク4ブロック構成を採用する、非常に特徴的な「忍者参」は、独特なエアフロー構造である事が分かった。


 上から見ると、JRの“グリーン車マーク”のようなデザインは外観上の大きな特徴だが、目に見えない風の流れも特徴的で、(4)のブロックからはほとんどファンからのエアフローが排出されていない事が分かった。
 つまり、ファンから送られた風は(1)を通り、(2)および(3)の側面ヒートシンクの赤矢印で表示した方向に排出されている。普通に考えれば、ファンと正対する(1)→(4)という流れを想像するワケだが、構造上の特性でそれが「Y字」方向にどんどん流れて行くのは少々奇妙に感じてしまう。
 ここからは筆者の想像となるが、特徴的なフィンのデザインだけでなく、ヒートパイプのレイアウトによるものかもしれない。分かりやすく言えば、パチンコの釘のような作用(例えが適切かはこの際別)で、上からヒートパイプのレイアウトを見ると、なるほどこの仮説は成り立ちそうだ。そこに複雑なヒートシンクのレイアウトが加わることで、「忍者参」独特なエアフロー方向が生まれている、、、

 ここで補足が必要なのは、風の方向が「Y字」であろうと、極端に(4)の冷却能力が劣っていない事はヒートシンク各部の温度計測でも実証されているという事実だ。
 確証を得るには別の方法でテストを行う必要があるが、メーカー側も当然これを把握しているはず。問題が無いという結果から製品化されている事は恐らく間違いないだろう。


総評
“たっぷり受熱”から“素早く放熱”に着目した勝利

忍者参

 今回のテストは非常に手間が掛かった。これは「忍者参」が“悪い”のではなく、もちろん“筆者が悪いわけでもない”。その理由はこれまでのCPUクーラーに比べ、「忍者参」は奥が深く、色々な要素を持ち合わせているからに他ならない。

 さて結論としてのエルミタ的総合評価は19.0ポイントとした。その理由は以下項目毎に解説している。


【静音性】 4.5ポイント

 ヒートシンクの形状から、ファンが高回転になるに連れ、ある程度の風切り音は発生する(ここがマイナス0.5ポイントの理由)。これはサイズ独特の放熱フィンと、その間隔からくるものだが、同梱される「KAZE JYUNI」可変PWMモデルの出来が良く、最小帯域設定にすれば気にならないレベルになってしまう。高クロックユーザー向けに最大帯域設定も設けられているが、これをもって静音性が低いとするのは少しフェアなジャッジではないだろう。
 単純に騒音値だけで言うならば、このファンを搭載するモデルはすべて静音性が高いという評価になり、異論を挟む余地は残されていない。

【冷却性能】 4.5ポイント

 正直に言えば、文句をつける所はあまり見当たらない。あまり出来過ぎでも気味が悪いので、敢えて重箱の隅を突くと、もう少し劇的な冷却性能を期待していた。
 誤解があっては困るが、十分に冷えている。これ以上を望むのは無茶なリクエストだが、本稿のレギュレーションとなるCore i5-750以上のCPUを使った場合、どれほどの余力を残しているのかがポイントとなるだろう。例の「Y字」エアフローはどこまで対応できるのか、若干の疑問と大いなる期待により、この結果とさせて頂いた。なおこれについては別に機会を設けたいと考えている。満点はそれまでお預けとしよう。

【取り付け易さ】 5.0ポイント

 搭載方法については画像で紹介しているため詳細は割愛するが、取り扱いは非常に楽な部類。なによりIntel CPU使用でAMD用リテンション金具一対だけが余るというのは好感が持てる。ユニバーサル対応CPUクーラーの多くは使用しないパーツが数点残ってしまうが、「忍者参」の場合、ネジまでもが共通となるため、無駄がない。ここはアイデアと企業努力の結果と言える。

【コストパフォーマンス】 5.0ポイント

 恐らくサイズ以外のメーカーから見れば、この製品でこの売価(4,000円前後)は大いなる驚異だろう。
 ここからは「忍者参」の総括ではなく、サイズオリジナルCPUクーラーの総括となるが、共通して言える事は“素早い放熱”が重視されて設計されている点がポイントと言えるだろう。

 これまで多くのCPUクーラーが各メーカーからリリースされている。複雑なデザインや単なる押し出しヒートシンク、極一部となる鍛造品や、全銅製モデルなど非常に多彩だが、サイズは“たっぷり受熱”ではなく、一貫して真逆な方法で勝負している。

 ヒートシンクの受熱はベース部と熱移動がその役割となるヒートパイプが賄い、指が切れてしまいそうな極薄放熱フィンを効果的に使う事で、“熱離れ”のスピードを上げ、言わばCPUクーラー内での熱循環をいかに速くするかだけにこだわっているようにも思える。

 しかしこれは基本中の基本であり、サイズのCPUクーラーは極希におかしいなデザインはあるものの(失礼)、忠実にそれを目指したモデルを作り続けている。これにブレが生じなければ、日本国内のみならず、サイズの強さはこれからも続いて行くことだろう。どうやらどの世界でもブレない事が大切のようだ。

サイズ「忍者参」総合評価
評価
総合評価


【エルミタ的検証用CPUクーラー募集】
エルミタ的「一点突破」では検証希望CPUクーラーを募集しています。国内外を問わず、ご興味のあるメーカー様・代理店様は編集部までご一報ください。

機材協力:株式会社サイズ
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忍者参
・SCNJ-3000 JAN:4571225046778
・外形寸法・・・図示
120×120×高さ160mm(クーラー全体)
120×120×厚さ25mm(付属ファン)
・ファン回転数
740±25%〜1900rpm±10%(最大帯域)
470±30%〜1340rpm±10%(最小帯域)
・ノイズ
9.8〜37.0dBA(最大帯域)
7.05〜27.3dBA(最小帯域)
・風量
37.15〜110.31CFM(最大帯域)
23.0〜76.53CFM(最小帯域)
・対応CPU
intelソケット775/1366/1156
AMDソケット754/939/940/AM2/AM2+/AM3
・ヒートパイプ:6mm径×8本
・本体重量:1040g
・付属品:各種ソケット/Fan取り付け具、マニュアル
・パッケージ寸法・重量273×145×140mm・1460g
・市場想定売価税込4,000円前後
メーカー製品情報
 
 
 
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