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 「エルミタ的対談」
 Home > エルミタ的成田空港現場対談「台湾PC業界の今を聞いてみた。」〜「Lynnfield超フライング事件」「SSDの今後」〜
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2009年11月24日 G&D matrix 編集部
NRT エルミタ的対談「台湾自作PC事情を聞いてみた」でお馴染みの台湾某大手メーカー・テクニカルマネージャーPatric Chen(陳俊晧)氏が再来日を果たした。今回はかなりの短期滞在で、スケジュール的に厳しいという事を事前に聞いたエルミタ編集部は急遽成田空港へ出向き、突撃現場インタビューを敢行。
 南ウイング到着ロビーで入国直後のPatric氏を“拘束”。今回の別名「他人の迷惑顧みず対談」の内容は、前回対談から数ヶ月で台湾PC業界は何が変わったのかを聞いている。あの“Lynnfield超フライング事件”からSSDの価格事情、さらに日本と違うアフターサービス事情やWindows 7事情にまで話は及ぶ。

Patrick Chen(陳俊皓)氏
・これまでに台湾の某大手メーカー3社に渡ってテクニカルマネージャーを務めてきた台湾市場の業界通。学生時代は台湾の秋葉原・光華商場のPCパーツショップでアルバイトの後、PCパーツ業界に。趣味はPC情報収集と新製品テスト等、公私ともにPC漬けの日々を送る。台湾在住。

今だから話せる台湾市場"Lynnfield超フライング事件”の真相

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あり得ない事が平気で起きる、台湾・光華商場に貼り出された価格表(8月15日撮影)
編集部)さて、いきなりですが、今年の夏(8月)に起きた台湾自作市場でのLynnfield超フライング事件についてお伺いしなければなりません。この「事件」は海外はもとより、国内でも大きな話題となりました。
Patrick)エルミタージュ秋葉原でも海外からのアクセスが多かったと聞きましたが(笑)。
編集部)はい(苦笑)。台湾からもアクセスが増えましたが、アメリカからの反応が特に大きかったですね。あとはヨーロッパ。おかげさまでと言っていいものか、、、
Patrick)台湾は掲示板文化が非常に発達しており、PCの情報はほとんどここから得ることになりますが、事前に「販売が開始されるかもしれない」という噂は流れていました。それが現実なものになりましたね。
編集部)なるほど。あれはやっぱり異例中の異例ですよね?
Patrick)どうでしょうか。台湾市場らしいと言えばそれまでですが、たまたまそれがLynnfieldだったという事です。世界中で大きな話題となりましたが、意外に国内では冷静だったかもしれません。
編集部)Patrickさんも光華商場に行かれたそうですね。
Patrick)はい、バイクを飛ばして見に行きました。普通に販売されていましたね。CPUも対応マザーボードも非常に多くのモデルが陳列されていました。ただしたくさん売れているという感じではありませんでしたよ。興味深く眺めている人は多くいましたが。
編集部)在庫は潤沢だった?
Patrick)CPUに関してはそれほど多くはなかったかもしれません。とあるショップではCore i5-750が1個だけ入荷したという話を聞きました。お店によってばらつきがあったようですね。
編集部)結局これはなんだったのでしょうね。
Patrick)事の真相は至って単純で、代理店に早く商品が入庫したからです。メーカーと代理店には当然NDAの契約を結んでいます。ただし販売店と代理店間にはNDAは存在しません。
編集部)いや、それでも普通売りませんよね(苦笑)。
Patrick)そこは台湾特有の文化なのでしょうか。代理店は8月の時点で入荷した高価なCPUとマザーボードをいつまでも倉庫に置いておくワケには行きません。8月の仕入れで解禁日の9月まで月をまたいで現金化できないのは厳しいですね。
編集部)ならば出しちゃおうと。
Patrick)そうですね(笑)。


フライングから数日後、店頭から消えたLynnfield

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光華商場・健宏電脳(8月15日撮影)
編集部)入荷した販売店も同様の事情から「みんなで売れば怖くない」的な発想につながったという事でしょうね。すごいなぁ。日本では考えられない。
Patrick)先ほども言ったように、ここが台湾文化なのかもしれません。すごく合理的な考え方をしますので。
編集部)その後5日間ほどで店頭から商品が下げられましたね。これはいわゆる“大人の事情”ですか?
Patrick)はい、さすがに。まずこのフライングに関しては、世界的にも著名な大手メディアが動画付きで販売風景を報じました。ご覧になった方も多いと思いますが、このサイトを含め、大きな話題(問題?)になり、「羨ましい」という声もあれば、非難する声もあちこちから聞かれました。
 私の聞いた話では、台湾ブランチのIntelは静観し、本国(アメリカ)のIntelが現場に赴いたと言われています。ここも合理的で、台湾Intelの主な業務はマーケティングであり、今回のような騒動には関知しない立場という事のようです。一方でフライング販売の真相または感想をとあるメディアが本国のIntelに質問状を出した事が販売中止の発端になったという話も出ています。実際の所は私も分かりません。
 ちなみに台湾国内の掲示板では、エルミタージュ秋葉原の記事にリンクを付けた上で、「日本のユーザーは非常に羨ましいと感じている」という書込が目立ちました。台湾発が大多数を占めるPCパーツですが、通常日本市場の方が早く店頭に並ぶ事が多く、逆に羨ましいと感じている台湾自作ユーザーが少なからずいましたので、そのトーンはちょっと嬉しそうでしたね(笑)。
Lynnfield
Core i5-750リテールボックス
編集部)なるほど。真相は闇の中ですか。でも店頭から消えた商品はどこに行っちゃったのでしょう。
Patrick)お店のバックヤード(笑)。商品は陳列棚から下げられました、店員に「売って欲しい」と言えば、普通に買えましたよ。販売は中止されましたが、在庫が存在する問題は解決していません。また、光華商場で目につかなかったとは言え、台湾Yahoo!等では引き続き販売は続けられていました。
編集部)日本ではやはり考えられませんね。まず販売店は代理店から以後の出荷を止められ、代理店はメーカーからライセンスを剥奪されるかもしれません。たった1回の話題作りですべてが失われるという選択はまずあり得ないでしょう。すごいなぁ台湾。
Patrick)販売店からすれば、どこからでも商品は買えますからね。


「どこからでも商品は買えますからね」から見えたアフターサービス事情

編集部)どこからでも買えるというのは、日本市場に置き換えると“並行輸入モノ”がイコールになると思いますが、つまりそういう事ですよね?
Patrick)その理解で間違っていないと思います。
編集部)
そういえば、多くのPCパーツメーカーは台湾に拠点を置くことから、並行輸入という言葉は成立するのかなぁ。逆輸入って事はあるのかもしれませんが。
Patrick)厳密にはどうでしょうか。香港から入荷する製品はありますが、、、
編集部)CPUに話を戻すと、日本では正規代理店品と謳う事があります。これは並行輸入品が存在するためにその対極を区別させるためのものです。グラフィックスカードやマザーボードなど、価格が若干安く設定されている反面、アフターサービスがネックになる場合があります。万が一故障した場合でも、正規代理店の保証規定により無償で修理が受けられるなど、例外はありながらも基本的に“売りっぱなし”という事が無く、その分の安心感が違います。そもそも並行モデルは代理店が有償修理の受付もしてくれないという徹底振りですね。
Patrick)台湾の自作ユーザーは、アフターサービスが購入する最後の決めてになる事が非常に多いです。
編集部)日本のルールに則れば少々矛盾してますね。やっぱり並行輸入品というものがそもそも無いのかなぁ。
WD
Western Digital
Patrick)ひとつの例を挙げると、台湾で今人気のハードディスクメーカーはWD(Western Digital)です。その理由は、非常にアフターサービスが良いためです。
編集部)感覚的に理解しがたい所もありますが、、、Seagateじゃだめなんですか?
Patrick)台湾国内では、Western Digitalよりもアフターサービスが充実しておらず、日本市場ほど人気はありません。断然Western Digitalという雰囲気です。
編集部)日本ではアフターサービスのランクで商品の人気が左右されるという事はあまり無いように思えるのですが。ちなみに台湾では万一トラブルが発生した場合、やはり先に販売店へ持ち込むのでしょうか。
Patrick)違います。台湾のお店は基本“売りっぱなし”です(笑)。
編集部)ここも合理的で片づけて良い所ですか?
Patrick)その通りですね。ちなみに台湾のショップではBTOを見かけません。構成部品が多く、当然メーカーがばらばらなので、アフターサービスが面倒という理由からだと言われています。その上薄利ですね。そりゃやりたがりません。
編集部)なるほど。ではトラブル時はどうするんですか?
Patrick)直接メーカーまでバイクを走らせます(笑)。ここも日本との違いですが、恐らくこちらでは、修理が必要になった場合、メーカーの日本ブランチ等に直接行きませんよね?
編集部)恐らく門前払いでしょうね(笑)。
Patrick)台湾には多くのヘッドクォーターがあり、さらにそこにはお客様用の窓口が設けられてる場合があります。
編集部)それはすごい。
Patrick)トラブルが起きた場合、直接そこに持ち込む事で、その場で直してくれる(または交換)事が多いですよ。
編集部)なるほど。それならば販売店も楽だし、ユーザーも安心ですね。さすがにそこは台湾ですね。
Patrick)でもCPUは駄目ですね(笑)。Intelの場合、ユーザー自身でシンガポールのRMA窓口に直接連絡をして送ってしまいますよ。
編集部)台湾のブランチはマーケティングが主な仕事(苦笑)。
Patrick)英語ができる人が台湾には多いので、直接コンタクトを取ることで非常にスムーズに修理も完了できますね。

対談はまだまだ続く。次はSSDに見る価格事情やCPU市場占有率にも話がおよぶ→

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台湾自作PC事情を聞いてみた 第1回
第1回「台湾自作PC事情を聞いてみた」
第2回「台湾自作PC事情を聞いてみた」
 
Lynnfield超フライング事件

・Lynnfieldのコードネームで知られるIntel Core i5-750、Core i7-8xx、および対応チップセットとなるIntel P55 Expressが2009年9月8日火曜日午前0時が解禁日時に設定されていたが、なんと台湾の“秋葉原”である光華商場では8月14日から店頭販売が開始された。

超異例とも言えるこの出来事は、海外メディアでも大きな話題となったが、後に実質5日間ほどで店頭からその姿が消えていた。

なおエルミタではこの騒動について台湾在住の現地特派員によるレポートを2回に渡ってお届けしている。

[台湾情報] 台湾市場「Intel Core i5、P55マザーボード絶賛販売中」をエルミタ現地特派員が緊急レポート(2009/8/16)

[台湾情報] 光華商場、Core i5およびP55マザーボード発売中止に(2009/8/20)
 
 
 
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