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Vol.2 「ATXの呪縛から解放されたAntec CP-850」
〜独自規格の電源開発はAntecにしかできなかった〜
2009年3月21日 G&D matrix 松枝 清顕
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Antecケース専用に設計されたユニークな電源
日本では強力なブランド力で自作ユーザーから圧倒的支持を得ているAntecから、同社専用設計の電源ユニット、「CP-850」が発売された。今回Antec正規代理店である株式会社リンクスインターナショナルの協力によりサンプルを入手、ATX規格よりもはるかに大型な「CP-850」のファーストインプレッションをお届けしよう。
Antec CP-850
2009年3月20日発売開始
実売価格平均18,000円前後
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Antecだから実現した独自仕様
Antec「CP-850」の特徴は、なんといってもその外形寸法にある。通常のATX規格は奥行き140x 幅150x 高さ86mmとなるが、このモデルは奥行き201x 幅175x 高さ119mmで、実際にATXサイズの電源と比較してみると、そのスペック以上にひと回りどころかふた回りも大きく感じられる。
当然の事ながら独自サイズであるが故にAntecブランドのケースである「Twelve Hundred」、「P183」、そしてまもなく発売される「P193」の現時点3モデルのみに対応するという思い切った製品でありながら、実勢価格は定格850Wクラスの中では安価な部類となる18,000円前後である。
通常、専用設計のモデルをリリースするにはたいへんなリスクが伴う。汎用サイズであれば、選択肢として他社ケースでの搭載も見込めるが、例外を除き不可能な外形寸法が採用されており、販売数量は見込めない。その上選択肢は3モデルとなればなおさらで、数量が読みづらい条件が整った中で製品ラインに乗せ、またこの価格に収められている。
余計なお世話と思いつつ、代理店や販売店は発注数量に頭を悩ませるのではないかと訝ってしまう。しかしながらこれを実現させてしまうのは、現時点Antecしかないだろう。これはAntecがいかにグローバルな展開で、販売数量が多く、さらにブランドに自信を持っているかの表れではないだろうか。まさにAntecのなせる技、それが「CP-850」なのである。
パッケージ裏面に書かれた一通りの製品特徴と専用電源である旨の注意書き。これだけ大きなパッケージでは、通常のATX電源と間違える事はさすがに無いと思われる。
店頭でパーツを選ぶ際には、たいへん重要なインフォメーションとなる外装パッケージのマルチランゲージは非常にありがたい。日本語化は日本市場を重視するメーカーの現れといえる。(同梱マニュアルも同様)
パッケージ側面。Antec専用電源である旨、イラスト表示もされている。左から「Twelve Hundred」「P183」「P193」
PC内部側
PC外部側
一般的ATX電源(上段)と「CP-850」(下段)。積み上げて比較すると、「CP-850」は本当に大きいことが解る。(ちなみに上段のATX電源は「OCZ Fatal1ty 550W OCZ550FTY 」で、近日こちらのインプレッションもご紹介できる予定)
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専用電圧出力回路、工業用グレードの保護回路も搭載
「CP-850」は、ATX12V v2.3/EPS12V v2.91準拠の“CPXフォームファクター”電源。ケーブルは着脱式を採用し、耐久性を向上させたアドバンストケーブルマネジメントシステムにより、混線を無くしクリーンなエアフローが実現できるとしている。
各コネクタは、メイン24ピン電源コネクタ×1、CPU補助4ピン電源コネクタ×1、CPU補助8ピン電源コネクタ×1、6+2ピンPCI-E電源コネクタ×2、6ピンPCI-E電源コネクタ×2、SATA電源コネクタ×9、ペリフェラル電源コネクタ×9、FDD電源コネクタ×1となり、必要に応じたケーブルを使用すれば良い。着脱式ケーブルは、発売当初コネクタ口からのノイズの問題等なマイナス面も取り上げられたが、このモデルのように、コネクタ口数が2+2等必要最低限に抑えられており、未使用コネクタ口を別途蓋等で塞ぐ事も無くなってきている。
出力は、4つの独立した+12V出力回路により、安定した高出力が常時約束され、電圧フィードバック回路および厳密な負荷レギュレーションにより、電圧を均等に確保され、パワーと安定性が良好となっている。また、電源効率性認証である80PLUSを取得し、NVIDIA SLI認可テストもクリアされている。
さらに力率改善回路であるアクティブPFC回路を搭載。電力損失を抑え、効率的な稼働ができる。その他、工業用グレードの保護回路が搭載されており、過電圧保護(OVP)、短絡保護(SCP)、過電流保護(OCP)により、負荷による損傷を未然に防止。各種安全性認証、UL、FCC、CCC、CB、TUV、C-Tick等が取得されている。
なお筐体排気側は優れた通気性能でありながら強度が高い蜂の巣状のハニカム構造が採用されているのも特徴で、製品はAntec Quality5年間保証付きだ。
筐体強度を保ちながら通気性が良好なハニカム構造が採用されている
着脱式ケーブルコネクタ口部。上部の赤は、PCI-E/HDDへ供給される+12V3/+12V4、下部の黒は、HDD供給用の+12V1/+12V2となる
各出力スペック
着脱式ケーブル
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120mmストレートレイアウトエアフローの恩恵
筐体サイズの大きさと共に目立つのが120mmファンの存在だ。ATX規格では、高さの制限が86mmであるため、それ以上に口径があるサイズのファンは物理的に搭載ができず、筐体上下面に120〜140mm(13.5mm等)の吸気ファンが取り付けられている。
現在の電源ユニットでは、上下面レイアウトの吸気ファンが圧倒的だ。これは大口径ファンを取り付けることにより、風量を低回転で作り出すことができ、静音化が容易でありながら電源ユニット基板上の構成部品の冷却ができるとされている。しかしながらサーバー系の電源ユニットでは未だにストレートファンレイアウトが主流だ。
Embedded系のある技術者は、「キャパシタ(コンデンサ)に風をあてて冷却させるという概念はありません。これは効果の問題であり、電源に関して言えば、通常ヒートシンクに接触されている構成部品を冷却させる事が主目的であり、フィンに沿って風を流せるストレート(ファン)レイアウトは当たり前」という。
さらに「CP-850」のストレートファンレイアウトは、搭載可能専用ケースのレイアウトにも理にかなう。
「Twelve Hundred」は強力な冷却性能をウリにするため、少々忘れて頂き、「P183」「P193」はデュアルチャンバー構造を特徴としており、HDDケージおよび電源ユニットはマザーボードや拡張カード部分と分離されている。これはまさに電源ユニットのストレートファンが有効なレイアウトで、Antecがケースと電源ユニットのトータルバランスを想定し、さらに理想に近づけようとしている事が窺える。
なおファンスペックは、120x120x25mmで、パルス振幅変調PWM仕様。スペック上では、最低回転数390rpm、最大回転数2600rpmとなり、ケース内使用環境およびPCの負荷状況に応じて自動可変する。出来る限りの静音PCを構築させたい場合は、ケース内熱源の効率よい排熱環境を作る事が有効で、さらに「CP-850」自体も80PLUS認証を取得しているため、電気的ロスが少なく、低発熱で稼働できるとされ、搭載ファン回転数がむやみに高速にならない配慮がなされている。
ちなみにファンは、OEM向けでよく見かけるProtechnic MAGIC「MGT12012XB-W25」で、DC12V 0.52Aモデル。製品型番から、2ボールベアリングファンであることが解る。
ファン回転数は100%負荷状況で最高回転の2600rpmに達する
120mmのPWM可変ファンはProtechnic MAGIC「MGT12012XB-W25」DC12V 0.52Aモデル
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ATX規格の呪縛から解き放されたAntec
「CP-850」は通常のATXサイズよりそれぞれ幅で25mm、奥行きで61mm、高さで33mm拡大されている。これにより、理想的なストレートファンレイアウトで120mmファンが搭載されている事は前述通りだが、内部にもその恩恵が見て取れる。早速カバーを外してみることにする。(通常は保証対象外となるので開けない事をお勧めする)
カバー蓋裏面にも“Antec DESIGN”のロゴがあしらわれている。通常保証対象外となるため、開けることはないはずだが、こんなところにもAntecの主張がなされている。
電源内部の様子。このようにPCBが底面と上面の一部にレイアウトされている。
「CP-850」の蓋を外してみると、PCBが上下2枚に分割されている事が解る。筐体サイズが大きい=PCB面積もATX規格に比べて広く、1枚のPCBでも十分と思いきや、Antec側はきちんと理由を用意していた。
これは、コンデンサやトランス、アクティブPFC、整流回路などの電源ユニット構成部品が余裕を持ってレイアウトできるため、筐体内部各所に良好なエアフローの流れを作り出すことができる。
つまり、その分搭載ファンの回転数が落とせ、また熱籠もりしにくいため、PWMファンがむやみに高回転に達する事がなく静音性を保ち、さらにコンデンサ等の寿命が伸びると言える。
また、高出力高性能が要求されるATX規格のように限られたレイアウトの中で、小型でありながら精密で高性能(そして高価)な部品を搭載する必要が無い。
Antecは、ATX規格の限界点(コスト&パフォーマンス)を早々に見極め、ケースからその規格の枠を取り払うことで、独自設計の電源を製品化させ、品質を落とさず“高価な小型高性能部品”を必要としないレイアウトを採用する事で電源自体のコストダウンを成功させているのである。
まさにAntecならではの発想とその実現であった。
CP-850 製品スペック
型番
CP-850
出力
850W
規格
ATX12V v2.3 及び EPS12V v2.91準拠
搭載ファン
120mm
入力電圧
100V〜240V ±10%
入力周波数帯
47Hz〜63Hz
効率
80%以上
保護回路
OVP(過電圧保護)、SCP(短絡保護)、OCP(過電流保護)
安全性許認可
UL、FCC、TUV、CE、C-Tick、CCC、CB
製品サイズ
175(幅)×201(奥行)×119(高)mm
重量
3Kg
平均故障間隔
100.000時間
PFC
アクティブPFC
RoHS
準拠
80PLUS
80PLUS
NVIDIA SLI テクノロジ
認定
保証
5年間保証
CP-850 出力
出力合計
850W
出力大小
Max
Min
+3.3V
24A
0.3A
+5V
30A
0.5A
+12V1
22A
0.2A
+12V2
22A
0.4A
+12V3
25A
0A
+12V4
25A
0A
-12V
0.6A
0A
+5VSB
3A
0A
CP-850 コネクタ数
メイン24ピン電源コネクタ
1
CPU補助4ピン電源コネクタ
1
CPU補助8ピン電源コネクタ
1
6+2ピンPCI-E電源コネクタ
2
6ピンPCI-E電源コネクタ
最大2※
SATA電源コネクタ
3+6※=最大9※
ペリフェラル電源コネクタ
3+6※=最大9※
FDD電源コネクタ
1
注意
※利用するモジュラーケーブルにより異なります。最大のコネクタ数です
CP-850 モジュラーケーブル数
モジュラーケーブル出力ソケット
4(内2つPCI-用
ペリフェラル電源モジュラーケーブル 約80cm
(1本に3つのペリフェラル電源コネクタ)
2
SATA電源モジュラーケーブル 約80cm
(1本に3つのSATA電源コネクタ)
2
6ピンPCI Express電源モジュラーケーブル 46cm
(1本に1つのPCI Express電源コネクタ)
2
製品情報(株式会社リンクスインターナショナル)
http://www.links.co.jp/items/antec-power/cp850.html
プレスリリース(株式会社リンクスインターナショナル)
http://www.links.co.jp/items/cp850.pdf
製品情報(Antec)
http://www.antec.com/Believe_it/product.php?id=NzIw
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