エルミタ的業界インタビュー Vol.29

圧倒的シェアを誇るオールインワン水冷ユニットメーカー Asetekに聞く「水冷あれこれ」

2016.10.09 更新

文:GDM編集部 Tawashi

  • rss
  • Twitter
  • Facebook
  • google+
  • hatena
  • pocket
BTO

次世代APU / CPU、Bristol RidgeやKabyLakeも水冷で

  • 編集部
    AMDのRadeon RX 400シリーズはセールスが好調のようですが、SAPPHIREやPowerColorなどから水冷化の話はあるのでしょうか。特に上位モデルのGPUであるRadeon RX 480搭載カードなど。
2014年に登場したAMD「Radeon R9 295 X2」グラフィックスカードで採用されたオールインワン水冷ユニットはAsetek製だった
  • Jeff氏
    開発段階で話をもらいました。水冷クーラー搭載時の評価テストも行い、レポートもメーカーへ提出しています。ここからはあくまで個人的な感想ですが、冷却性能よりもコスト面で厳しいのかもしれません。Radeon RX 480に水冷ユニットを搭載させると、GeForce GTX 1070搭載グラフィックスカードに価格が近くなると思います。これではさすがに厳しい。ただし、PowerColorの「Devil」シリーズのように限定というスタイルでは発売されるかもしれません。
  • 編集部
    AMDは間もなく第7世代APU「Bristol Ridge」を、Intelはデスクトップ向けKabyLakeを年明けに投入します。Asetekに動きはありますか。
  • Mitch氏
    Socket AM4のプラットフォームに合わせた水冷システムの開発は進んでいます。どういうスタイルで販売するかは分かりませんが、水冷ユニットが出てくるのは間違いないでしょう。Intelはソケット形状に大きな変更がないため、既存モデルで対応できる予定です。

オールインワン水冷ユニットを普及させた影の功労者

数年前までの自作市場では、水冷に対するハードルの高さを誰もが感じていた。しかし今、オールインワン水冷ユニットに限ってはそれを感じる人はいないだろう。空冷と同じ感覚で水冷が選択できるようになるまで、思いのほか時間が掛からなかったように思う。普及を加速させた背景には、水冷メーカーの試行錯誤と紆余曲折があった。Asetek無くして、オールインワン水冷ユニットの成長は無かった。

水冷に対する懸念は、ユーザーもメーカーも同じ。「水漏れ」という致命的な状況を、いかに無くすかという明確な目標は、冷却能力よりも優先すべき課題だった。構成パーツの改善や、テストデータの蓄積、製品改良を繰り返し、今日誰もが気軽に手にできるような製品を完成させた。それは自作PCの世界を一変させたのだ。オールインワン水冷ユニットの製造メーカーとして、圧倒的シェア率を誇るAsetekは、まさに影の功労者と言っていい。

今回、決して表舞台には出ないAsetekに会う貴重な機会を得た。一筋縄では解決できなかった課題や、ともすればどれも同じに見えるオールインワン水冷ユニットのカスタマイズ、そして開発の難しさや今後の展望まで、彼らの話はどれもが興味深いものばかりだ。

とりわけ、Mitch氏が学生時代に目の当たりにした、クーラント液が噴き出してデスクが水浸しになったというエピソードは、ユーザーの懸念そのものだった。そんな悪夢を経験したMitch氏が、オールインワン水冷ユニットを定着させた第一人者であるAsetekで今、手腕を発揮している。彼がその当時抱いた「水冷は怖いなというイメージ」は、すでに払拭されているだろう。そして再びその懸念が現実のものにならぬよう、市場の声に耳を傾け、こうしている間にも、改良および開発が行われているのだ。


協力:Asetek
株式会社サイコム
totop