【はじめてのケーブル道 Vol.007】「USB全史」第1回~世代編~

2017.08.26 00:00 更新

2017.08.26 取材

  • rss
  • Twitter
  • Facebook
  • hatena
  • pocket

ROSSO(赤)とNERO(黒)を纏ったスタイリッシュなケーブルを作る、エスエスエーサービスとはオレたちのこと。密かにサプライ業界の天下を狙うアキバのケーブル屋さんが、ケーブルの魅力を解説する「はじめてのケーブル道」。今回から、「急速充電ケーブル」に続く企画として「USB(Universal Serial Bus)」のすべてを振り返る「USB全史」がスタート。まず第1弾は、手始めにバージョンの違いや成り立ちについて語りましょうか。

「急速充電ケーブル」第6回~充電しているフリ編~(前回)
http://www.gdm.or.jp/crew/2017/0706/212420

どうもこんにちは、ROSSO(赤)とNERO(黒)のカッコいいケーブルでアキバでもお馴染み、エスエスエーサービスの担当Tと申します。前回までは「急速充電ケーブル」のよもやまをお話してきましたが、今回からはもっと根源的な別の話題を取り上げましょう。充電ケーブルにとってはもちろん、世の中のデバイスにとって欠かせない存在になっている「USB(Universal Serial Bus)」のお話です。ものすごく身近なだけに、普段から掘り下げて考える機会なんて、ほとんどないですよね。今さら聞けないし聞こうとも思わない(笑)、このコーナーにピッタリなテーマじゃないでしょうか。

170826cable_1024x768b
アキバのケーブル屋さんが、知られざるケーブルの世界を解説してくれる「はじめてのケーブル道」。今回から、充電ケーブルはもちろん現代のデバイスに欠かせないバス規格「USB(Universal Serial Bus)」を順に解説していくぞ。まずは世代(バージョン)から整理していきましょう

まずUSBとは何ぞやという話から。ご存知ホスト機器に周辺機器を接続するためのバス規格として、今や最も一般的な規格になっています。初めはCompac、DEC(Digital Equipment Corporation)、IBM、Intel、Microsoft、NEC、Nortel Networksの7社が合同で開発をスタートして、1996年に最初の規格である「USB1.0」が誕生しました。主に転送速度や伝送距離、供給電力などで規格化されていまして、標準化団体のUSB Implementers Forum(USB-IF)が管理を行っています。

ちなみに第1世代の「USB1.0」は、最大12Mbpsの「Full Speedモード」と最大1.5Mbpsの「Low Speedモード」という、2種類の伝送モードをサポートした規格。当時他では不可能だったホットプラグに対応したりと、使い勝手のいい規格でして、Windows 98が正式にサポートしたことで爆発的に普及することになりました。コネクタは4pinですが、現行のUSBとは互換性はありません。USBの原型といえる、レガシーな規格ですね。

170826cable_900x675a 170826cable_900x675b
「USB1.0」のデビューに合わせて制定されたUSBのロゴマーク。矢印が複数の記号に向けて伸びているのは、「1つのインターフェイスであらゆるデバイスに接続できる」という意味がこめられている その後継として登場した「USB1.1」は、以降の規格への後方互換を確保。以前のロゴに加えて、USB端子をイメージしたロゴが追加された

その後継として、1998年に規格化されたのが「USB1.1」です。「USB1.0」から電源管理についての仕様をマイナーチェンジしたバージョンでして、最大転送も12Mbpsのママ。ただしこれ以降は後方互換が確保されていますので、今のUSB規格にとって最も源流に位置するのは、この「USB1.1」と言えるでしょう。

そして2000年になって、新しく「USB 2.0」が策定されます。最大転送480Mbpsの「HghiSpeedモード」を追加したのが特徴で、電源供給(バスパワー)は標準で5V/500mAに対応。それまでほぼ概念だけの存在だった、「USB On-the-Go(OTG)」も正式にサポートされました。やや曖昧だった伝送距離も規格化されまして、最大5mと定められています。現在でも最も多くのUSB機器で使われているバージョンですね。

170826cable_900x675c 170826cable_900x675d
2000年に登場した「USB 2.0」は、今でも最も多く使われているUSB規格。新たに対応した「HghiSpeed」がロゴマークに追加、OTGがついたオプションロゴも存在する

続いて2008年に登場したのが「USB3.0」です。最大転送5Gbpsの「SuperSpeedモード」をサポートしまして、「USB 2.0」から大幅に高速化を果たしました。互換性を保つためにコネクタ形状こそ変わっていませんが、ピン数は4pinから9pinに増加しています。これは送受信でそれぞれ別のデータ線を確保するためで、USBはこの世代から「全二重通信」に移行することになりました。伝送距離は、高速通信を維持するために最大3mに短縮されています。

ちなみに「USB3.0」といえば、青色のコネクタでお馴染みですよね。ただしこの仕様はあくまでUSB-IFが推奨しているだけなので、実は厳密な取り決めはありません。それまではコネクタの色もガチガチに規格化されていたのに、急に優しくなったものです(笑)。実際にAppleやLenovoといった一部メーカーは、見た目重視で白や黒のコネクタを採用していました。

なお、標準の給電仕様は5V/900mAですが、モバイル端末などの急速充電への要求から、2007~2010年に最大1.5A給電に対応する拡張プロトコルの「USB BC (USB Battery Charge)」が追加されています。こちらについては、「急速充電ケーブル」の第2回を振り返ってみてください。

170826cable_900x675e 170826cable_1024x768c
「USB3.0」は「全二重通信」に移行したことから、矢印が交差する新デザインを採用。「SuperSpeed」の文字も追加されている。ちなみに青色端子はあくまで推奨とあって、一部メーカー製品では従来カラーの端子を使用する例もあった

そろそろ息切れしそうになってきましたが(笑)、いよいよ現行規格「USB 3.1」の番ですね。規格策定は2013年にIntelを中心とした「USB 3.0 Promoter Group」によって行われて、その後にUSB-IFに管理が移管されています。最大の特徴は、同時期に規格化が進められた新コネクタ「Type-C」への移行を見据えて、転送速度の強化が図られたこと。「SuperSpeed+モード」に対応して、最大転送は10Gbpsまで向上しました。その影響で最大伝送距離はさらに短縮されまして、標準仕様はなんと1mとされています。

もっとも「SuperSpeed+」に対応するのは、いわゆる“Gen2”と呼ばれる規格。「USB 3.1」の登場に合わせて、それまでの「USB3.0」は「USB3.1 Gen1」という呼称に変更されています。マーケットでは「USB3.0」と「USB3.1 Gen1」が混在してしまって余計に分かりにくくなりましたが(笑)、この2つは呼称が違うだけで同じ規格なんですよ。

170826cable_900x675f 「USB 3.1」のロゴは「USB3.0」のマイナーチェンジで、上部が「SuperSpeed+」に変更、下部に10Gbpsのワードが追加された。なお「USB3.1 Gen1」はあくまで「USB3.0」の改称のため、規格上はまったく同じ

ちなみに給電性能は、Gen1とGen2ともに標準で5V/900mA。ただし「USB 3.1」の登場に前後して拡張規格の「USB PD(Power Delivery)」が規格化されまして、なんと最大100W(20V/5A)の給電が可能になりました。もっともこのあたりは複雑ですから、別の機会に個別でお話しようと思います。

170826cable_1024x575
ほかにも複数のオプションロゴが制定されているUSB。7月にはついに最新規格の「USB3.2」(ドラフト)が発表された

さてこんな具合に進化を続けてきたUSBですが、今年7月に最新規格の「USB3.2」が発表されました。コネクタはもちろんType-C、同時に複数の線でデータ伝送を行うことで「USB3.1 Gen.2」の2倍の高速伝送が可能になる・・・という規格になる模様です。ここにきてようやく、Type-Cで24本に増えた結線をフル活用できる仕様が盛り込まれた格好ですね。

そのおかげで、ホスト・デバイス側がともに「USB3.2」に対応する必要はありますが、ケーブルは「USB3.1 Gen.2」の認証ケーブルがそのまま使えるようです。現在はまだ最終ドラフト段階なので、9月に予定されている正式リリースが待ち遠しいですね。

170826cable_1024x768d かなり複雑な進化を遂げてきた、最も身近なバス規格USB。手始めの世代の話に続き、次回は端子のアレコレをご紹介します

さて、今回は「USB」に関するアレコレを語る第1回として、バージョンの話を簡単に(?)ご説明してみました。次回の「はじめてのケーブル道」では、規格の進化に合わせて変化を続けてきた「コネクタ」についてまとめてみようと思います。

文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
株式会社エスエスエーサービス: http://ssa.main.jp/

totop